バイーア・ロック! いんやー、キモチいい~。胸をすくじゃないの。
ブラジルからこういうイキのいい音楽がちっとも聞かれなくなっていたので、
イェーイ!と大声上げて、思わずスピーカーに向かって、コブシを振り上げちゃいましたよ。
なんだかここんところ、ブラジルの話題というと、
サンパウロやミナスのインテリ・エリートが作る、
クラシックとジャズとコンテンポラリーを組み合わせた、
小難しい音楽ばかりに注目が集まっていて、むず痒い気分だったんですよね。
なんだかさー、現代音楽とジャズを大学院で勉強しないと
演奏できないような音楽が増えちゃったよねえ。
いつからブラジルのポピュラー音楽って、そんなになっちゃったんだっけか。
だもんで、そんなアーティフィシャルな音楽を蹴散らすような、
このバンドのエネルギーに、一発でヤラれてしまったんでした。
ドラムスの暴れっぷりも、爽快そのものなら、
レコードをごきゅごきゅとコスりまくるスクラッチも、
いてこませー、みたいなエネルギーが溢れんばかりで、キモチいいったらありゃしません。
バイーア帰りの方が買ってきた、サルバドールのインディ・バンドのアルバム。
7人組のファンク・ロック・バンドで、実に吹っ切れたサウンドを聞かせてくれます。
一聴、力だけで押しまくる剛腕なバンドかと思いきや、
ヘッド・アレンジと思われるホーン・セクションの使い方はこなれているし、
ロックやファンクと同等に、
サンバやバイオーンがバンドのサウンド・カラーに染みこんでいます。
アイディア豊かなサウンドもアタマで作った感がなく、
しっかりと肉体感を滲みだしているところが、このバンドの良さですね。
で、ここまでの話は白いジャケットの06年デビュー作の話で、
カラフルなデザインの12年の3作目を聴いたら、女性ヴォーカリストが加わり、
がらっと音楽性が変わっているのでした。
こちらはデビュー作のようなストレートなファンク・ロック・サウンドは影を潜め、
実験性の高い、といってもポップなサウンドで、さまざまなアイディアをぶちこんだ、
エクスペリメンタル・ロックへと変貌しています。
なるほどね。
ぼくの嗜好を熟知してくれているエル・スールの原田さんが、
「かなりロックですよ?(大丈夫ですか)」と、心配してくださったのも、ナットク。
でも、大丈夫でありました。というか、もろにぼく好み。
う~ん、どういうロックならOKで、どういうロックだとNGなんだろ。
実験的な音楽ということでも、エルメートとかウアクチはまったくダメなくせに、
なんでこれはOKなのか、自分でもよくわからん。
わからんのですが、スタジオに入って、メンバーがわいわい言い合いながら、
サウンドを作っているような感じがいいじゃないですか。
少なくとも、譜面とにらめっこしてる感はないよね。
データをやりとりして作るんじゃなくて、
スタジオで顔を揃え、せーので演奏している感じ。
エンタテイメントの精神を忘れず、自家中毒に陥らないのは当然として、
芸術的すぎないこと、ユーモアがあることも大事かな。
演奏に肉体感が宿る音楽の作り方に、カギはあるのかも。
Radiola "DOIS DE FEVEREIRO" Radiola RAD0001 (2006)
Radiola "TEMPO SEM NOME" Radiola no number (2012)