あぁ、こういう人の新作が、ちゃんと出るというのは嬉しいですねえ。
サンバ新世代のシーンが活発になって、またサンバに光が当たっているとはいえ、
こういう古いサンバを聴く人なんて、今のブラジルではほとんどいないだろうに、
それでも、きちんとCDが出るところに、ブラジル音楽業界の懐の深さを感じます。
シルヴィオ・カルダスの伴奏を20年以上務めた7弦ギタリスト、
ジョアン・マカコーンの新作です。
この人のおそらくデビュー作だったと思うんですけれど、
06年作を聴いて、頬がすっかりゆるんでしまったのを思い出します。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2009-07-22
古いサンバ・カンソーンやセレスタが好きな人には、
どストライクなサンビスタといえますけど、
そんな奇特な人にお目にかかったことがないもんなあ。
日本のどこかに、そんなファンが10人くらいはいそうな気がしますけど、
そういう人は、ネットとか見ない年代かもしれないなあ。
この記事が、そんなファンの目にとまれば、嬉しいんだけれど。
前作“CONSEQUÊNCIAS” も、アタウルフォ・アルヴィス、アリ・バローゾ、
パウロ・ヴァンゾリーニ、カルトーラ、ゼー・ケチといった人たちの、
シブい選曲で楽しませてくれましたが、
今回も、古いサンバ・ファンにはこたえられないレパートリーが選ばれています。
ネルソン・ゴンサルヴィスが歌った“A Deusa Da Minha Rua”、
オルランド・シルヴァが歌った“Curare”、
ジョルジ・ヴェイガが歌った“Piston De Gafieira”。
どれもメロディがいいよなあ。
今のサンバとは、情の濃さが段違いで、比べ物にならないですよね。
今作でも、バンドリン奏者ミルトン・ジ・モリをはじめとする、
伴奏陣のサンバ/ショーロのしっかりとした演奏が、
ノスタルジアに陥らない現代性を加味して、
低音ヴォイスのジョアンの味わい深い歌声を支えています。
João Macacão "BAILE DE CHORO" Pôr Do Som PDS0065 (2016)
João Macacão "CONSEQUÊNCIAS" Pôr Do Som/Atração ATR37045 (2013)