9月はグレッチェン・パーラト、ムーンチャイルドとライヴ三昧だったんですが、
最後にテラス・マーティンで打ち止め。
ケンドリック・ラマーにスヌープ・ドッグのプロデューサーとして、
脚光を浴びまくっているテラス・マーティンですけれど、
アルバムの方はなんだかスムース・ジャズみたいで、
この人の本領は、ナマを観なければわからなさそう。
そんな予感があって、9月27日ビルボードライブ東京のセカンド・ショウに足を運びました。
さすが、ロサンゼルスのジャズ・シーンと西海岸のヒップホップ・シーンを横断する才人。
テラスの音楽性は、フュージョン以前のジャズ・ロック~クロスオーヴァー、
ずばり70年代のハービー・ハンコックのファンク路線にあると思うんですけれど、
その基本から、ジャズ~R&B~ヒップホップへ多面的に発展していった
ブラック・ミュージックを、再統合したようなサウンドが全面展開されたのでした。
ヴォコーダーを操り、サックスをブロウするその所作をみていても、
やりたいようにやっているという自由さがあって、バンドを引っ張っていく力だけでなく、
その中で悠々と自分を表現する力量の大きさが示されていましたね。
もちろん自信のなせる業なんでしょうけど、
かつてのマイルズみたいな、おっかない親分といった存在感ではなくて、
曲間の長いMCも含め、気の置けないやんちゃな仲間みたいな気分が横溢していて、
テラスの笑顔に象徴されるリーダーシップに、古今を感じました。
ブラック・ミュージックのヒストリーをエンターテインメントで包んだ上に、
隣のあんちゃん的な気安さでもって提示することのできる才能。
ブラック・ミュージックを過去から未来に繋ぐ才人。
彼こそ、クインシー・ジョーンズの後継者といえるんじゃないでしょうか。
Terrace Martin "VELVET PORTRAITS" Ropeadope no number (2016)
Terrace Martin Presents The Pollyseeds "SOUNDS OF CRENSHAW VOL.1" Ropeadope RAD363 (2017)