センバ新世代注目株の若手シンガー・ソングライター、
キャク・キャダフの新作が届きましたよ。
以前紹介したデビュー作から、3年ぶりとなるセカンド・アルバムで、
昨年12月16日にアンゴラでリリースされたもよう。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03
全16曲すべて自作曲。
ギターで作曲しているとおぼしき作風ですけれど、バラエティ豊かで、
快活なセンバ、華のあるキゾンバ、哀愁味のあるスローと、
いずれも表情のくっきりとした、いいメロディを書く人ですよね。
テタ・ランドからパウロ・フローレスの系譜を継ぐ人のなかでは、
一番ポップ・センスに秀でた人じゃないかな。
キャクのヴォーカルも、ソフトな歌い口に、なめらかな歌い回しで、
メロウないい味わいを出しています。
かすかに苦味を帯びた声が、魅力を倍化してますよ。
デビュー作もゴージャスなレコーディングでしたけれど、
今回もじっくりと丁寧に制作されたことが、クレジットからうかがえます。
ドラマーだけでも7人も起用されていて、曲ごとのパーソナルを見ると、
同一のメンバー/セッションで録られた曲は2曲あるかないか。
録音地のクレジットがないんですけれど、
パウリーニョ・ブラガにジョアン・リラというパーソネルはブラジル録音だろうし、
ポルトガルのほかに、パリでもレコーディングしているみたいです。
レコーディングに参加したミュージシャンは、かなりの人数に上るんじゃないでしょうか。
ホーン・セクションやストリングス・セクションも惜しげなく使った
生演奏が主体のプロダクションで、ヌケのいいオーガニックなサウンドを聞かせます。
打ち込みのプロダクションは、ズーク・ラヴ・ナンバーの
“Biso Na Biso” “Lola” の2曲のみ。
センバやキゾンバがメインのなかに、
1曲“Facludade” だけが70年代ディスコ調のアレンジで、クスリとさせられます。
こんなところにも、キャクのチャーミングな音楽性をうかがわせますね。
Kyaku Kyadaff "IGUAL AO PRAZER" LS & Republicano LSR2017003 (2017)