アンゴラのギター侍(?)みたいなジャケットの
フィーリョ・ド・ズアことマティアス・ダマージオくんのデビュー作。
まだ21歳という若きシンガー・ソングライターで、
キャク・キャダフの弟的存在として注目を集めているみたいです。
ジャケットの背景に、高層ビル街とスラム街をコラージュしているのは、
歌の内容を反映したものなんでしょうか。社会派なのかな?
メッセージの方はよくわからないんですが、
サウンドの方は、生演奏主体のキャク・キャダフとは正反対で、
打ち込みをベースとしたプロダクションとなっています。
キャク・キャダフのゴージャスなプロダクションを聴いたあとでは、
ちょっと分が悪いですけれど、決してこちらがチープというわけではなく、
聴き劣りするものでないことだけは、きちんと言っておきましょうね。
面白いのは、その打ち込みを使ったキゾンバのトラック。
ヒップホップ・センスを感じさせるビート感が気持ちよくって、
4曲目の“Ta Lembido” のつっかかるような、
ギクシャクしたビートなんて、すっごくユニークで興味をおぼえました。
これ、アンゴラのリズムから参照したものなのか、
それともオリジナルの創作なのか、どっちなんだろ。
いずれにせよ、こればかりは生演奏では得られない、
打ち込みならではのビートの快楽ですね。
その一方で、9曲目の“Mamã Falou” のような、
アコーディオンと生ドラムスが疾走するアップテンポのセンバもあれば、
ズーク・ナンバーもありで、センバ新世代というより、
もう少しヴァーサタイルなアフロ・ポップのシンガーといえそうです。
ラスト・トラックで、プート・ポルトゲースがゲスト参加してるんですけど、
主役を完全に食ってしまった、エネルギッシュな歌いっぷりがスゴイ。
まだ若いコのデビュー作だっていうのに、プート、遠慮なしだなあ。
でも、プートの魅力が炸裂していて、プート・ファンならゼッタイの聴きものです。
Filho Do Zua "TUDO OU NADA" Clé Entertainment no number (2017)