ルイス・モライスの古いCDが目にとまって、おや、珍しい、と手に取ってみたら、
ルイス・モライスのレコード・ジャケットのデザインを
コラージュしたDJのミックスCDで、なあ~んだ、どおりで。
このCDが日本に入ってきたのなんて、見たことないもんねえ。
旧ポルトガル領アフリカ圏のレコードをCD化していたポルトガルのレーベル、
ソン・ダフリカから、15年以上前に出たCDです。
ルイス・モライスは、「カーボ・ヴェルデ音楽の父」と称される管楽器奏者。
セネガルのダカールの名門ナイト・クラブ、ミアミで活動後、
50年代末にオランダへ渡って、カーボ・ヴェルデ音楽の名グループ、
ヴォス・デ・カーボ・ベルデを結成した人です。
67年に録音した初ソロ作のタイトル曲“Boas Festas” は、
カーボ・ヴェルデ人なら知らない人はいないという名曲ですね。
ルイス・モライスのこのデビュー作もソン・ダフリカからCD化されましたけれど、
ソン・ダフリカ盤は日本未入荷の入手困難盤で、容易に聞けないのが難。
でも、のちにフランスのリサフリカから10曲追加してCD化され、
ようやく聞きやすくなりました。ジャケットはオリジナルではないですけれど、
美しい水彩画が音楽にとてもよく合っています。
このデビュー作では、カヴァキーニョ、ギターなどの弦楽器アンサンブルに
打楽器を加えたアクースティックな楽器編成で、
ブラジルのショーロに近いサウンドを聞かせていましたが、
70年代に入ると、オルガンやエレクトリック・ギターを取り入れて、
コラデイラにラテン音楽をミックスした音楽を始めるようになります。
その頃のレコードと思われるのが、最初にあげた黒いジャケットの72年作です。
この当時のルイス・モライスたちのサウンドがユニークなのは、
クンビアやメレンゲを盛んに取り入れたことでした。
この当時西アフリカではキューバ音楽が大流行しましたけれど、
彼らはキューバ音楽ではなくて、クンビアやメレンゲに注目したんですね。
そのきっかけや理由はわからないんですけれども、
このアルバムでも、ルイス・カラフのメレンゲを3曲もカヴァーしています。
メレンゲはフナナーとリズムが似ているので、親近感を持ったんでしょうかね。
でも、クンビアはなぜなんだろう。
オルガンのひなびた響きやエレクトリック楽器が入ることで、
かえってサウンドに朴訥とした味わいが増しています。
これがもう少し後になると、オルガンがシンセに取って代わってしまい、
サウンドがチープになってしまうので、
カーボ・ヴェルデ音楽の哀愁味を引き立てる田舎ぽい素朴さを味わえるのは、
この時期ならではといえますね。
Luis Morais "LUIS MORAIS E VOZ DE CABO VERDE" Sons D’África CD419-02 (1972)
Luis Morais "BOAS FESTAS" Sons D’África C096 (1967)
Luis Morais "BOAS FESTAS" Lusafrica 362792 (1967)
[EP] Luís Morais "SÓ CUMBIAS=8" Estúdios Nacional Filmes VCV1065