のっけからコブシを気持ちよく回しながら、ハレバレとした歌声で
エチオピアン・レゲエを歌うアブドゥ・キアルの新作。
これまでレゲエやってる人というイメージが強くて関心がなかったんですけれど、
新作を聴くと、たしかにレゲエも数曲やっているとはいえ、
レパートリーの中心は、5音音階のアムハラ民謡調の曲なども含む、
コンテンポラリーなエチオピアン・ポップとなっていました。
マシンコやクラールをフィーチャーした伝統色の強いナンバーから、
サックスやシンセをフィーチャーしたロック調、
ライト・タッチのパーティ・ミュージックふうなレゲトン調と、
エチオピアン・ポップ幕の内な仕上がりで、爽快なヴォーカルがよく映えます。
ミックスとマスタリングを手がけたアシェベル・マモが、いい仕事をしましたね。
スキンヘッドに顎鬚が印象的なアブドゥ・キアルは、76年アディス・アベバ生まれ。
09年に3作目をリリースしたあと、情報工学の学業に専念し、
学位を無事取得して、歌手にカムバックしたんだそうです。
4作目になる本作は、エチオピア抵抗史のシンボルとされている
「黒いたてがみのライオン」を意味するタイトルとなっています。
左がエチオピア盤、右がアメリカ盤、お好みでどうぞ。
Abdu Kiar "TIKUR ANBESSA" Adika no number (2015)
Abdu Kiar "TIKUR ANBESSA" AM Music Production no number (2015)