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年明けはシャアビから カメル・シアムール

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Kamel Syamour  DDUNIT.jpg

あけましておめでとうございます。

暮れの12月から良作が続出で、嬉しい悲鳴をあげっぱなしなんであります。
お気に入りのヘヴィロテ盤も聴きたし、未聴CDの山も片づけにゃならんし、
これじゃ正月休みが足りない~♪
とにかく買うCD、買うCD、全部いいんだから、仕事なんかしてる場合じゃない(?)。
このブログの記事もたまりにたまってしまい、ひと月先まで予約済という始末です。

そんなわけで、どれを年明け第1弾にしようかと思案してたんですが、
カビール人シンガー、カメル・シアムールというの2作目にしました。
ここ数年聴いたシャアビで、間違いなくこれは最高作ですね。

シャアビというと、つい古いものばかり聴いてしまう傾向が強くて、
というのも、どうも最近のシャアビはガツンとこないというか、
スムースすぎて物足りないからなんですが、この人は違いました。
苦味のある声に、シャアビならではのメリスマには、
いにしえのシャアビの味わいがしっかりと宿っています。

それもそのはず、この人、90年代にパリへ渡ってから、
イディールやスアード・マッシ、アクリ・デなどのバックをつとめながら、
長い下積みを経て、ようやく09年にデビュー作を出したというのだから、
キャリア十分なわけですね。
なんだかソフィアン・サイーディといい、最近のアルジェリア音楽では、
こういう隠れたヴェテランの活躍が目立ちますね。

バックはすべて生演奏、カメルが弾くマンドーラを中心に、
ヴァイオリン、バンジョー、アコーディオン、ガイタ、ダルブッカなどの編成に、
男性コーラスやゲストの女性シンガーも加わるという、
100%シャアビのサウンドが嬉しい。

曲により、ストリングス・セクションが加わったり、ピアノを起用するほか、
うっすらと鳴らすキーボードのカクシ味も利いてますね。
リズム・アレンジには現代的なセンスが聴き取れ、
まぎれもなくシャアビの今の姿をくっきりと捉えた力作といえます。

個人的に嬉しかったのが、42年にフランスへ渡ったカビール人歌手
スリマン・アゼムの代表曲‘Baba Ghayu’ をカヴァーしていること。
スリマン・アゼムはカビール系移民の支持を集めて大成功を収めた歌手で、
カメルのいわば大先輩。
スリマンのオリジナル・ヴァージョンをイントロにサンプルして、
するりとレゲエ・アレンジにしたカメル・ヴァージョンへとすべり込む演出がイキです。

Slimane Azem  LES MAÎTRES DE LA CHANSON KABYLE.jpg

スリマン・アゼムのオリジナル・ヴァージョンが入ったAAA盤を聴き直してみましたけれど、
スリマンへのリスペクトが感じられる仕上がりじゃないですか。
こういう秀逸なカヴァーをするところにも実力をうかがわせる、
カビール系シャアビの傑作です。

Kamel Syamour "DDUNIT" Gosto no number (2014)
Slimane Azem "LES MAÎTRES DE LA CHANSON KABYLE : VOL.Ⅱ- LE FABULISTE" Club Du Disque Arabe AAA092

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