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ゴキゲンななめの謎ジャケ フィエル・ディディ

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Fiel Didi  NOSSA SENHORA DA MUXIMA.jpg   Fiel Didi  EM DEFESA DO SEMBA.jpg

うわははは、なんだこのブッちょうずら。
11年に“COISAS DE PAIXÃO” で遅咲きの歌手デビューを果たした、
アンゴラのセンバ・シンガー、フィエル・ディディの3作目。

13年の2作目“EM DEFESA DO SEMBA” を、
3年前のミュージック・マガジン誌に紹介記事を書いたものの、
その時は日本に入荷せず、今回ようやく新作と一緒に入荷したんですけれど、
その新作のジャケット写真の不機嫌なことといったら。
いったい撮影時に何があったんでしょうね。

中身の方は、そんなジャケ写を忘れる、明るい表情のセンバがたーっぷり。
この人のセンバは、哀愁味があまり表に出てこなくて、人懐っこいんですよ。
ここ数年、若手による新世代のセンバばかり聴いていた気がしますけど、
こういうオールド・スクールなセンバには、ほっこりしますねえ。

フィエル・ディディはもともと歌手ではなく、政治家だったという異色の人。
青少年スポーツ大臣やルアンダ州副知事などを歴任し、
その後ホテル経営や観光業を営む実業家へと転身したアンゴラ政財界の大物です。
ジャケット裏には湖畔のコテージみたいな建物が写っていますけど、
これもフィエルが経営しているホテルなのかな?
それにしてもヒドいピンボケ写真で、
ジャケットを制作したデザイナー、なんか悪意でもあったのか。

レパートリーは、アルトゥール・ヌネスやウルバーノ・デ・カストロなど、
70年代センバの曲が中心。タイトル曲も、ヴェテラン・シンガー・ソングライター、
エリアス・ディアー・キムエゾの曲です。
ディカンザ(スクレイパー)をシャカシャカと刻むリズムに、
アコーディオンの涼風のような響きが、オールド・センバの味をよく伝えていますよ。
サウンド・プロダクションもキゾンバのような洗練されたコンテンポラリーではなく、
ほどよいチープさを残しているところがいいんだなあ。
フィエルのざっくばらんとした、あけっぴろげな歌い方も、
実に庶民的というか、いい雰囲気で、聴いているだけで、しぜんに笑みがこぼれます。

Fiel Didi "NOSSA SENHORA DA MUXIMA" Xikote Produções no number (2018)
Fiel Didi "EM DEFESA DO SEMBA" Xikote Produções no number (2013)

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