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南ア・ディープ・ハウスの傑作 シミー

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Simmy  TUGELA FAIRY.jpg

もう1人の南ア新人は、シミーことシンフィウェ・ンホラングレラ。
出身はムリンド・ザ・ヴォーカリストと同じクワズールー=ナタール州で、
より内陸部のツゲラ・フェリー。齢も24と、ムリンド・ザ・ヴォーカリストと1つ違い。
出身も年齢も近い2人ですけど、音楽性は違って、シミーの方はディープ・ハウスです。
クワイトが再び盛り上がってきたのにつられて、ハウスも盛り上がっているんでしょうか。
南アは、昔からハウスが人気ありますよね。

13年、クワズールー=ナタル大学で社会工学を学んでいたシミーは、
ハウス・プロデューサーのサン=エル・ミュージシャンと出会い、
共演を求められたといいます。
その時は学位取得を優先して断ったそうですが、卒業後にジョハネスバーグに向かい、
サン=エル・ミュージシャンのもとで活動してきたとのこと。
デビュー作もサン=エル・ミュージシャンのプロデュースで、
彼のレーベルからリリースされました。
「KARAOKE QUEEN」と胸に書かれたTシャツを着ている、
バック・インレイの写真には笑ってしまいました。

選び抜かれた鍵盤の音色、デリケイトにプログラミングされたビート、
身体がふわりと軽くなる浮遊感のあるサウンドは、ネオ・ソウルとも親和性があり、
重みのあるボトムのビートが、濃密な空間を生み出します。
シミーの歌いぶりは、ハウス・トラックのフィーチャリング・ヴォーカリストそのもの。
ヴォーカルが自己主張するのではなく、
サウンドやコーラスに自分のヴォイスを溶け合わせることに、心を砕いています。

ダンスフロア向けでない、リヴィング・ルームで聴くためのディープ・ハウス。
クワイトが盛り上がったゼロ年代前半に、南ア産ハウスもけっこう聴いたんですけれど、
これほどのクオリティのアルバムには出会えませんでした。
ビートメイクのセンスなんて、US/EU産ディープ・ハウスを凌いでるんじゃないですかね。

あと、終盤に1曲(‘Lashona Ilanga’)だけ、
南アらしいゴスペル・フィールなトラックがあるのは意外性満点で、聴きものです。
南ア・ディープ・ハウスの傑作、しばらく手放せそうにありません。

Simmy "TUGELA FAIRY" El World Music CDCOL8342 (2018)

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