ゴキゲンななめの謎ジャケ フィエル・ディディ
うわははは、なんだこのブッちょうずら。 11年に“COISAS DE PAIXÃO” で遅咲きの歌手デビューを果たした、 アンゴラのセンバ・シンガー、フィエル・ディディの3作目。 13年の2作目“EM DEFESA DO SEMBA” を、 3年前のミュージック・マガジン誌に紹介記事を書いたものの、 その時は日本に入荷せず、今回ようやく新作と一緒に入荷したんですけれど、...
View Articleアンゴラ内戦時代のサヴァイヴァー ロベルチーニョ
アンゴラ独立後のクーデター事件によって粛清の犠牲となった、 ダヴィッド・ゼー、アルトゥール・ヌネス、ウルバーノ・デ・カストロの後進歌手として、 80年代の内戦の時代に活動していたロベルチーニョ。 その後、ソ連崩壊による冷戦終結によって、 アンゴラで敵対し合っていた二大勢力が包括和平協定に調印し、 91年にアンゴラに束の間の平和が訪れ、 ようやくロベルチーニョはソロ・デビューLP“JOANA”...
View Articleスーダニーズ・ファンク・バンドの名盤復活 ザ・スコーピオンズ&サリフ・アブ・バクル
ハビービ・ファンクは、ドイツのヒップホップ・レーベル、 ジャカルタのサブ・レーベルとして、15年にスタートした復刻専門レーベル。 アラブ/北アフリカの70年代レア・グルーヴをリイシューするという、 これまで誰も目を向けなかった秘境にスポットを当てています。 カタログには、モロッコのファンクやら、アルジェリアの電子音楽など、 好奇心をくすぐるタイトルが並んでいるんですけれど、...
View Articleアンゴラのロス・コンパドレス ドン・カエターノ&ゼカ・サー
わお! ようやく手に入ったぞ、ドン・カエターノのアルバム。 ドン・カエターノは、アンゴラの内戦時代をサヴァイヴしたヴェテラン・センバ・シンガー。 数多くのバンドを渡り歩いた人ですけれど、もっともよく知られるのは、 アンゴラで初めてエレクトリック・ギターを導入した植民地時代のトップ・バンド、 ジョーヴェンス・ド・プレンダの81年再結成後のフロント・シンガーを務めたこと。 ブダの編集盤“ANGOLA...
View Articleオルカディアン・フォーク・カルテット ファラ
ハンナ・ラリティのデビュー作の記事にいただいたコメントで、 山岸伸一さんから教わった、スコットランド、オークニーの女性4人組ファラの新作。 フィドル3人とピアノというユニークな編成のグループで、今作が2作目。 オープニングのポルカ、ジグ、リールの三連メドレーから、もうエキサイティング。 キリリと立ち上る3台のフィドルの響きに、 後ろからピアノがゴンゴンと打楽器の如く押し出していく...
View Article影絵芝居の人形遣いとルークトゥン ノーンディアオ・スワンウェントーン
ルークトゥンというのは、やっぱりタイ演歌なんだなあと、 エル・スールの原田さんと一緒にYouTube を観ていて、感じ入ってしまいました。 ノーンディアオ・スワンウェントーンという、タイ南部の盲目の歌手なんですが、 その歌声の素晴らしさは、中央のルークトゥン歌手にないディープさがあります。 ディープといってもアクが強いわけではなく、むしろ歌い口はなめらかで、...
View Articleカセ・マディとズマナ・テレタに捧ぐ バセク・クヤテ&ンゴニ・バ
カセ・マディが亡くなった今、マンデ音楽の未来は、 この人の肩にかかっているんじゃないでしょうか。 07年に“SEGU BLUE” でデビューしたバセク・クヤテ率いるンゴニ・バは、 4台のンゴニでアンサンブルを組むという、それまでなかった斬新な編成で、 マンデの伝統音楽を見事に現代化してみせました。 あのデビュー作は、フレッシュなアンサンブルが奏でる重厚なサウンドと、...
View Article抑えの美学 エイヨルフ・ダーレ・シーエン・ジャズオーケストラ
これまであまり関心を向けてこなかったジャズ・オーケストラの作品が、 がぜん面白く感じられるようになったのは、 ジャズが「アンサンブルの時代」を迎えた象徴でもあるんでしょうね。 マリア・シュナイダー・オーケストラに耳目を集めるようになってだいぶ経ちますけど、 最近では、このノルウェイのジャズ・オーケストラが気に入りました。 エイヨルフ・ダーレというピアニストが率いる、シーエン・ジャズオーケストラ。...
View Articleヘヴィーに変貌したトゥアレグ・ロック ケル・アスーフ
おぅ! こういうサウンドを待ってたんだよ。 ニジェールのトゥアレグ人ギタリスト、アブバカル・アナナ・アルーナ率いる 多国籍ユニット、ケル・アスーフの新作。 過去2作からぐんと跳躍した、トゥアレグ・ロック・アルバムを作りあげてくれました。 前2作のサウンド・メイキングが、ロックを志向しているわりには、 どこか徹底できていないツメの甘さを感じて、気になっていたんですよね。...
View Articleポルト・アレグレの今 マルモータ
うぉー、カッコいい。 ブラジルのジャズ、ホントに来てるなあ。大豊作であります。 今聴いていたのは、11年にポルト・アレグレで結成されたマルモータのセカンド作。 ルデーリをホウフツさせる、コンテンポラリー・ジャズのグループです。 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-09-24...
View Articleショラールあふるるブラジルのジャズ エドゥアルド・ベロニ
オーソドックスなジャズ・ギター・アルバム。 一言でいえばそれに尽きるんですけど、これがとびっきりの内容なんです。 3年前に出ていたサン・パウロの新進ギタリストのデビュー作で、気付いて良かったあ。 正統派のジャズ・ギターでこれほどの逸品、ありそうでなかなかありませんよ。 ギターのトーン、ソロ・ワーク、アンサンブル、楽曲、アレンジ、 すべてがハイ・レヴェルという、欠点の見当たらないアルバムです。...
View Article潮風のサンバ バルラヴェント
なんて爽やかなんでしょうか。 ジャケット写真そのままに、 バイーアの潮風を感じるサンバを、たっぷりと満喫できるアルバムです。 07年に結成されたというバイーア3人組、バルラヴェントの3作目。 ナザレー出身のサンビスタ、ロッキ・フェレイラをゲストに迎えた1曲目から、 バイーアらしさイッパイのサンバを繰り広げます。 シャラーンと高音を響かせるスティール弦のアクースティック・ギターの響きが、...
View Articleおぢさん、恋をする H.E.R.
これが10代の歌声とは! 恋に疲れたやるせなさを表現できる、大人びたヴォーカル。 アンビエントなサウンドスケープを、ゆったりとたゆたうヴォイスに、息を呑みました。 一瞬たりとも声を張ることのない、柔らかで落ち着きのある声。 少女独特のキンと立つ声が苦手なぼくには、生理的にとてもなじむ女声です。 今年21となる新人女性R&Bシンガーが...
View Article知られざるサンバ・カンソーンの名歌手 エレーナ・ジ・リマ
ブラジルのリイシュー専門レーベル、 ジスコベルタスの新作ニュースに心踊ったのは、ひさしぶり。 ここ数年ジスコベルタスのリイシューは、 守備範囲外のジョーヴェン・グアルダやブレーガ、ディスコものが続いていたので、 乏しい資金を散財せずにすんでいたんですけれども。 ところが今回は、往年のサンバ・カンソーン女性歌手という、 60歳以上男性客限定みたいなラインナップで、...
View Articleサンバ・カンソーンの傑作盤 エルザ・ラランジェイラ
今回のジスコベルタスのリイシューで一番驚いたのが、 エルザ・ラランジェイラのデビュー作。 プレ=ボサ・ノヴァ期に活躍した歌手で、 のちにボサ・ノーヴァを大衆歌謡化した人気歌手 アゴスチーニョ・ドス・サントスの奥さんになった人ですね。 エルザの63年の代表作“A MÚSICA DE JOBIM E VINICIUS” は、 ヴィニシウスとジョビンのコンビで制作した2作のうちの1枚で、...
View Article伝承歌の世界観 クレア・ヘイスティングス
スコットランド、きてるなあ。 ハンナ・ラリティにファラと、注目のアルバムが続出じゃないですか。 去年大注目したアイオナ・ファイフのミニ・アルバムが出るというので、 心待ちにしていたところ、それとはまた別の嬉しいアルバムが届きましたよ。 それが、ウクレレを弾き歌う女性歌手クレア・ヘイスティングスのソロ第2作。 女性4人組のトップ・フロア・テイヴァーズのメンバーとしても活動している人ですね。...
View Articleバス・トロンボニスト・フロム・ヴァージニア レジナルド・チャップマン
こりゃあ、いい! トロンボーン5管が分厚いソリを聞かせるソウル・ジャズ。 主役は、リッチモンドを拠点に活動するブラス・ファンク・バンド、 ノー・BS!・ブラス・バンドで活躍するバス・トロンボニストのレジナルド・チャップマン。 本作がデビュー・ソロ作という、ライアン・ポーターやトロンボーン・ショーティに続く、 注目のトロンボニストです。 短いバス・トロンボーンのソロに続いて始まる ‘You Go...
View Article21世紀のサザン・ソウル レブラド
イェ~イ、ごっきげぇ~ん! これぞ21世紀のサザン・ソウルと太鼓判を押せる傑作が、ついにフィジカル化。 いやあ、待ち遠しかった、というのとはちょっと違って、 どうせフィジカルにはならんだろうと諦めていただけに、オドロキ、やがて感涙なのです。 ノース・カロライナ、ウィンゲート出身のシンガー、レブラド。 ケイ=シー&ジョジョの末弟といった方が、話は早いですかね。 00年作“X”...
View Article狂おしくもステッパー アンディ・ストークス
16年の前作を買い逃していたら、1年後に運良く再プレスされ、 感涙にむせび泣いたノースウェストのソウル王、アンディ・ストークス。 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-07-08 インディ・アルバムが再プレスされることはめったにないから、 はじめに買い逃すと、二度と手に入らなくなっちゃいますからねえ。 新作は売り切れになる前に、ソッコー買いましたよ。...
View Articleシネマティックなジャズ・コンポジション アリソン・ミラーズ・ブーム・ティック・ブーム
シンディ・ブラックマン、テリ・リン・キャリントンといった大御所から、 キム・トンプソンやニッキー・グラスピーまで、 いまや女性ドラマーは珍しくなくなりましたね。 アリソン・ミラーは、ブルックリンをベースに活動する女性ジャズ・ドラマーで、 ブーム・ティック・ブームというグループを率いて10年来活動しています。 5作目となる新作は、アリソンのコンポーザーとしての才能が開花した、...
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