ボレーロ天使、登場 クイン・チャン
ヴェトナム伝統歌謡に、注目の新人が登場しましたよ。 南中部トゥイホア出身、97年生まれの22歳というクイン・チャンは、 「ボレーロ天使」のニックネームが付いた逸材。 ヴェトナム本国では、まだフィジカルは出ていないようなんですが、 配信リリースのアルバムから編集されたCDが、アメリカで発売されました。 これが極上なんです! ザンカー(民歌)を基礎とする確かな歌唱力と、...
View Articleミクラ・アシアのアブない快楽 ディミトリ・ニトラリ
ギリシャの女性歌手でサントゥーリを演奏する人といえば、 アレッティ・ケティメが一時期話題になりましたけれど、 ディミトリ・ニトラリというこの女性、アレッティ嬢よりはだいぶお年を召しています。 垢抜けないジャケ・デザインが妙に引っかかって買ってみたら、これが大当たりでした。 レンベーティカ色濃い古いスタイルのライカを歌う人で、...
View Article洗練の歌唱力 トッサポン・ヒンマパーン
ずいぶん長い間その名を忘れていた、トッサポン・ヒンマパーン。 タイの仏教歌謡レーに入れ込んでいた15年ほど前、よく聴いた歌手なんですが、 18年の新作に出くわして、ずいぶん聴いていなかったことに気付きました。 仏教説話を大衆歌謡化したレーは、 ポーン・ピロムからワイポット・ペットスパンに受け継がれ、 その後進としてトッサポン・ヒンマパーンが活躍するようになったわけですけれど、...
View Article呑んべえのサンバ ネルソン・サルジェント
現役最古参のマンゲイラのサンビスタ、ネルソン・サルジェント。 16年にクラウンド・ファンディングで制作された91歳をお祝いするCDが、 ようやく日本に入っていました。 さすがに90を越すと、総入れ歯らしきフガフガ声になるのも仕方ありませんが、 どこか憎めない愛らしさを感じさせるのは、お人柄でしょうね。 ちょうど昨年9月に他界したウィルソン・モレイラの遺作も届いたところだったんですが、...
View Articleブラジルの豊かなリズム遺産を応用したジャズ ベト・コレーア
またしてもエルメート・パスコアール門下生で、スゴイ逸材と出くわしました。 ミナス出身で、現在はサン・パウロで活動するというピアニスト、 ベト・コレーアのデビュー作です。 昨年、イチベレ・ズヴァルギのアルバムに衝撃を受け、 あらためてエルメート一派のアルバムをいろいろとチェックしているうちに、 昨年出た本作を知ることができました。 それにしても、あれほど敵視していた...
View Article無敵の推進力 ファヴィオ・ゴウヴェア
あれこれサンプルを聴いて、もう1枚拾い上げたのが、 ファヴィオ・ゴウヴェアというギタリストの17年作。 最近好作品を連発している注目のジャズ・レーベル、ブラックストリームのアルバムです。 CDが手元に届き、クレジットを見て、ビックリ。 クインテートのピアノはベト・コレーアで、ドラムスはクレベール・アルメイダ。 なんとまあ、同じようなメンツのアルバムを2枚同時に買っていたんでした。...
View Article悲恋を歌わせたら世界一 レー・クエン
少しごぶさたになっていたヴェトナムのボレーロ・クイーン、レー・クエン。 2年ぶりに、また彼女の歌に溺れる日々がやってきました(←喜んでる)。 う~ん、心おどりますねえ。 2年ぶりなのは、昨年リリースされた『チン・コン・ソン集』ががっかりだったから。 8年前のヴェトナム旅行でレー・クエンを発見して以来、 新作が出るたび、欠かさずに記事を書いてきましたが、...
View Article若手育つボレーロ・シーン レー・クエン
そしてもう1作が、シリーズ化したボレーロ集“KHÚC TÌNH XƯA” の第5弾。 初めてぼくがレー・クエンと出会ったのが、このシリーズの初作でした。 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-12-11 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-08-21 本シリーズの前作“KHÚC TÌNH XƯA : LỆ...
View Articleクール・ミスB ベティ・ブライアント
カンサス・シティ生まれで、ジェイ・マクシャンはお師匠さん、 アール・グラントとはマブダチだったという、 「クール・ミスB」の異名を持つ女性弾き語りピアニスト、ベティ・ブライアント。 御年88歳で、これだけ歌えちゃう! そもそも老人声でないのが、驚異的じゃないですか。 ピアノも達者で、ブギウギで鍛えた運指は確かで、 衰え知らずなのだから、脱帽です。...
View Article60年代シングル時代のアパラ カスム・アディオ
おぉ、カスム・アディオのCDが出た! なんて喜ぶ日本人は、ぼくくらいのものでしょうけれど、 アインラ・オモウラ登場以前、ハルナ・イショラの全盛期だった 60年代末から70年代に人気を集めたアパラのシンガーです。 ハルナ・イショラと同郷のイジェブ=イボ出身で、 19年生まれのハルナ・イショラよりは、だいぶ若い28年の生まれ。 24年生まれのリガリ・ムカイバと競い合いながら、...
View Articleクレオール・ビッグ・バンド・ジャズ ミジコペイ
いったいどれくらい、ミジコペイのライヴDVDを観たかなあ。 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2015-03-07 3か月近く毎日観続けたくらいだから、100回はもちろん下らないし、 その後も週末に観返したりしてたから、200回以上は観たかも。 フィナーレの高揚感がたまんないんですよね。...
View Article30年ぶりの再会 ピポ・ジェルトルード
マラヴォワのフロントを務めた名クルーナーのラルフ・タマールが退団し、 後任を務めたシンガーが、ピポ・ジェルトルードでした。 コーラスの一員にトニー・シャスールも加え、マラヴォワは89年に来日しましたが、 正直ラルフ・タマールが抜けた穴は大きすぎて、 ピポの力量では到底埋められないというのが、 後楽園ホールのライヴ後の率直な感想でありました。 あの時のライヴでは、ピポがメインで歌いましたけれど、...
View Articleサハラン・ロックの嘆き エムドゥ・モクタール
『パープル・レイン』のトゥアレグ・バージョン映画 “AKOUNAK TEDALAT TAHA TAZOUGHA” で主役を演じた エムドゥ・モクタールの新作がリリースされました。 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2018-12-04 前作は弾き語りのアルバムでしたけれど、...
View Articleアズマリのメリスマ ギザチュウ・テショム
なんて味のあるコブシ回しなんだろうか。 メリスマの利かせ方ばかりでなく、発声の強弱を駆使して 風が舞うような節回しを描く、その技量の高さにタメ息がでます。 ヴァイタルに歌えば野趣な味わいがにじみ出るし、いやあ、いい歌い手ですねえ。 アズマリでなければできない芸当、その鍛え抜かれた芸能の深淵が まさにそこに表現されている、そんな思いを強くさせる見事な歌唱です。 ギザチュウ・テショム。...
View Articleマルチニークの過去と現在が交錯する伝統ポップ デデ・サン=プリ
デデ・サン=プリの絶好調がとまらない。 新作はなんと2枚組。今ノリにのっている様子が、うかがえるようじゃないですか。 マルチニークの大衆芸能を受け継いで現代化する音楽家として、 もっとも理想的な仕事をしているのが、この人なんじゃないですかね。 前作も良い出来でしたけれど、ちょっとした不満もあったので、 ミュージック・マガジン誌の17年ラテン部門1位は、少し甘いかなと思いましたが、...
View Article60年代のトゥンテー・テインタン
少しづつですけれど、ビルマ大衆歌謡の黄金時代の録音が CD復刻されるようになってきたようで、積年の渇きがいやされる思いがします。 その皮切りが、一昨年のコー・アウンジーの3枚でしたけれど、 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-09-20 今度は90年代まで息長く活躍したヴェテラン歌手トゥンテー・テインタン。...
View Articleアダルト・オリエンテッド・シャバービー アンガーム
ああ、ようやっと手に入りました。 エジプト最高のフィメール・シンガー、アンガームの新作。 15年の復帰作から3年ぶりとなった昨年の前作“RAH TETHKERNI” は、 リシャール・ボナ、ヴィクター・ウッテン、ルイス・コンテなどが参加した アメリカ録音を含むアルバムで、新たにハリージにも挑戦した意欲作となっていました。 ところが、これが入手できなくってねえ。...
View Article日本のロック史上最高のソウル・バンド 上田正樹とサウス・トゥ・サウス
キー坊ーーーーーーーーっ!!! 40年以上も昔の、女ともだちの黄色い声が耳元でものすごくリアルに蘇り、 全身の毛が逆立つような感覚に襲われました。 「懐かしい」なんて、ナマっちょろいもんじゃない。幻聴ってやつですね。 あれは確か、A・H嬢の絶叫。ずっと忘れていた彼女の名前まで突然思い出しちゃって、 人間の記憶の回路って、不思議だなあ。...
View Article知られざるチャドに赴いて プロ・NDJ
ワンダーウィールを主宰するニコデマスの新プロジェクトが面白い。 チャドの首都ンジャメナに赴いたニコデマスが、チャドの音楽家ばかりか、 カメルーン、トーゴ、コンゴ民主共和国の才能ある音楽家たちと出会い、 ンジャメナが想像以上の文化のるつぼであることに驚いたんだそう。 なんでそもそもチャドなんだ?と思うわけですが、 アフリカで音楽シーンの様子がもっとも伝わってこない国ということで、...
View Articleセリア・クルースのアフリカン・ポップ・カヴァー アンジェリク・キジョ
アンジェリク・キジョの『リメイン・イン・ライト』には、本当に驚かされました。 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2018-10-13 アンチ『リメイン・イン・ライト』のぼくにとっては、「瓢箪から駒」以上の、 「ウソから出たマコト」クラスの衝撃でしたよ。 あの偽アフロ音楽を、ホンモノのアフリカ音楽が奪還してみせた痛快さといったら。...
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