カンサス・シティ生まれで、ジェイ・マクシャンはお師匠さん、
アール・グラントとはマブダチだったという、
「クール・ミスB」の異名を持つ女性弾き語りピアニスト、ベティ・ブライアント。
御年88歳で、これだけ歌えちゃう!
そもそも老人声でないのが、驚異的じゃないですか。
ピアノも達者で、ブギウギで鍛えた運指は確かで、
衰え知らずなのだから、脱帽です。
いやあ、このくらいの齢の女性って、なんでこんなに元気なのかなあ。
実は、うちの母も同い年なんですけれどね。
この人が病気になったことがないという、ちょっと考えられない人でして、ええ。
じっさい寝込んだ姿なんて見たことないし、インフルエンザはおろか、
風邪もひいた記憶がないっていうんだから、ほんとに人間かよ、と。
で、そのベティさんの新作のタイトル「プロジェクト88」は、
88歳の米寿と88鍵のピアノをひっかけて、
テナー・サックスのロバート・カイルを中心に、
大勢の仲間を集めて企画されたもの。
メンバーには、なんとあのジェイムズ・ギャドソンも参加していて、
‘Just You, Just Me’ では歌も披露して、ベティとデュエットしているんです。
たったの2曲というのが、なんとも惜しいというか、全曲叩いて欲しかったなあ。
ギャドソンのドラムスってシンプルなんだけど、グルーヴがふくよかで、
あったかいから、すぐわかる。ぼくの大好きなドラマーです。
‘Oh, Lady Be Good’‘Ain't Nobody's Business’ といった
カンサス・シティ・ジャズ好みの古いナンバーがいいのは当然として、
ベティのオリジナルがまた良いんだなあ。
‘My Beloved’ なんて甘いスローや、
アクースティック・ギターとフルートをフィーチャーした
小粋なサンバの‘Cho Cho’ のセンスの新しさに、ウナらされます。
すごいよね、ミュージシャシップの若さが。
なんでもベティは、代官山のジャズ・クラブ「タブローズ・ラウンジ」に、
13年間も定期的に出演していたんだそう。
なんだあ、それを知っていたら、一度くらい母を誘って観に行ったのに。
Betty Bryant "PROJECT 88" bry-mar music no number (2019)