あれこれサンプルを聴いて、もう1枚拾い上げたのが、
ファヴィオ・ゴウヴェアというギタリストの17年作。
最近好作品を連発している注目のジャズ・レーベル、ブラックストリームのアルバムです。
CDが手元に届き、クレジットを見て、ビックリ。
クインテートのピアノはベト・コレーアで、ドラムスはクレベール・アルメイダ。
なんとまあ、同じようなメンツのアルバムを2枚同時に買っていたんでした。
サンプルを聴いてピンときたのは、
やっぱりクレベールのドラミングに反応したからだったのかな。
ファヴィオ・ゴウヴェアは、サン・パウロ出身のギタリストで、
96年にアンドレ・マルケス、クレベール・アルメイダとともに
トリオ・クルピーラを結成し、いまもなお活動を続けているという人。
トリオ・クルピーラって、重要なグループだったんだなあと、再認識しました。
ファビオもまたエルメート・パスコアール一派で、
イチベレ・ズヴァルギのトラとしてベースを弾くこともあるのだそう。
ギター以外にも、フルートも吹くマルチ・プレイヤーで、
本作でもフルートをプレイしています。
で、オープニングの‘Moema Morenou’ から強烈。マラカトゥのリズムが炸裂し、
クレベール・アルメイダのキレ味抜群なドラミングが冴えわたります。
ドー・ジ・カルヴァーリョのサックスが快調にトばして、
うぉーと、前のめりになっていると、ベース・ソロになって一転クールになり、
続いてファヴィオのギター・ソロへと移っていく。カッコよすぎ!
なんとこの曲、パウリーニョ・ダ・ヴィオラと
エルトン・エデイロスの作というのだから、驚きます。
この二人のコンビで、マラカトゥを作っていたなんて、意外ですねえ。
2曲目はもろにエルメートなテクニカルなコンポジション、
3曲目もアブストラクトなテーマを持つものの、
ウタゴコロに富んだメロディが出入りするので、具象性から離れることはなく、
難解な印象をこれっぽちも与えず、めちゃ親しみやすい。
さらに、密度の高いアンサンブル・ワークと、
ぐいぐいと疾走していく推進力のあるグルーヴが、気持ちのいいのなんのって!
無敵だぁ。
ベト・コレーアのデビュー作でも演奏していた7拍子の‘Camisa 10’ を
こちらでもやっていて、終盤にメンバーがコーラスする高揚感は悶絶もの。
こりゃあ、ベト・コレーアのアルバムと抱き合わせで、
2~3か月ヘヴィ・ロテになること疑いなしですね。
Fabio Gouvea Quinteto "MÉTODO DO ACASO" Blaxtream BXT0013 (2017)