またしてもエルメート・パスコアール門下生で、スゴイ逸材と出くわしました。
ミナス出身で、現在はサン・パウロで活動するというピアニスト、
ベト・コレーアのデビュー作です。
昨年、イチベレ・ズヴァルギのアルバムに衝撃を受け、
あらためてエルメート一派のアルバムをいろいろとチェックしているうちに、
昨年出た本作を知ることができました。
それにしても、あれほど敵視していた
エルメート・パスコアールに目を向ける日が来るとは、思いもよらなかったなあ。
あのハッタリさえなければ、エルメート・ミュージックはブラジルのジャズとして、
これほどまでに輝くのかという感慨を、新たにしています。
毛嫌いしていた期間があまり長すぎて、結構聴き逃している作品も多い気もしますけど。
ベト・コレーアは、アンドレ・マルケスの代役として、
エルメートのグループに加わることもあるといい、サン・パウロの名門の音楽学校、
タトゥイー音楽院の講師を務めている人だそう。
本作は、サン・パウロの精鋭たちを集めたクインテット編成で、
軽やかに弾むスピード感溢れるドラミングを聞かせるのは、クレベール・アルメイダ。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2018-06-11
あのクレベールのデビュー作でピアノを弾いていたのが、ベト・コレーアだったんですねえ。
本作もクレベール・アルメイダのデビュー作同様、
ブラジルのさまざまなリズムを応用しながら、魅力あるメロディアスなコンポーズを
聞かせる趣向で、ゆいいつアブストラクトなピアノ・リフを持つ‘Pega O Saci’ で、
エルメート派の片鱗をみせます。
ユニークなのは、ギタリストがカイピーラ・ギターも弾いていることで、
ベト自身もアコーディオンを弾く曲もあり、楽器の選択もブラジルのジャズならではです。
サンバ、バイオーン、フレーヴォを取り入れているほか、すごく新鮮に響くのが、
マラニョン州の伝統的なブンバ・メウ・ボイのリズムを取り入れた‘Nobilho Brasileiro’。
さらに、アルゼンチンのチャカレーラの3拍子+2拍子を応用した‘Cinco Entrevado’ の
リズム・アプローチも斬新で、めちゃめちゃカッコいい。
ブラジルの豊かなリズムをふんだんに応用するほか、
ベトの出自であるミナスを強烈に感じさせる、
特徴的なメロディもそこかしこから飛び出し、
まさにブラジルでしか生み出せないジャズを味あわせてくれます。
Beto Corrêa "DIAS MELHORES" no label RB055 (2018)