こりゃあ、いい!
トロンボーン5管が分厚いソリを聞かせるソウル・ジャズ。
主役は、リッチモンドを拠点に活動するブラス・ファンク・バンド、
ノー・BS!・ブラス・バンドで活躍するバス・トロンボニストのレジナルド・チャップマン。
本作がデビュー・ソロ作という、ライアン・ポーターやトロンボーン・ショーティに続く、
注目のトロンボニストです。
短いバス・トロンボーンのソロに続いて始まる
‘You Go To My Head’ には意表を突かれました。
ビリー・ホリデイが歌った、あの「忘れられぬ君」ですよ。
ずいぶんとまた、古い曲を選んだもんだなあ。
サム・リードという女性シンガーが歌っているんですが、
ソウル・テイストのフレイヴァーですっかりリフレッシュメントされた仕上がりが、
新鮮に響きます。
ほかにも公民権運動のアンセム‘We Shall Overcome’ を
取り上げているのには、イマドキ?と思ったものですけれど、
トランプのアメリカだからこそ、<いまどき>なのかもしれませんね。
アルバム中、もっともモーダルな演奏を繰り広げているところに、
レジナルドの気概が伝わってくるようじゃないですか。
バックは、ブッチャー・ブラウンの中心メンバーを起用していて、
コーリー・フォンヴィルのドラムス、アンドリュー・ランダッツォ、
デヴォン・ハリソン(DJハリソン)のキーボードが大活躍。
なかでもDJハリソンは、レコーディングとミックスのクレジットがあり、
本作のキー・パーソンといえそう。
タイトルに『プロトタイプ』とあるとおり、37分弱の本作はミニ・アルバムの扱いらしく、
本人はフル・アルバムの制作を考えているもよう。はやくも次作が待ち遠しいです。
Reginald Chapman "PROTOTYPE" Flesh Selects FSX027 (2018)