あ~、今日はダメだぁ。
CDショップであれこれ試聴してみるんだけど、どれもピンとこない。
最後に残ったのが、いかにもインディ制作らしい、ペーパー・スリーヴのうすっぺらいCD。
棚に放り込まれたままのポップもない、売る気がまったく感じられないこの1枚を最後に、
今日はもう帰るか、なんて諦め気分でボタンを押したら、これが極上。
即、いただいてきました。
ポップなしでも、試聴機に入れときゃ売れる自信があったかどうかは知らねども、
どこのどなたかもわからぬまま買ってくるというのは、なかなかにワクワクするもの。
情報過多の時代には、こういう1枚との出会いが嬉しいんですよ。
甘いピアノの調べからスタートする、ラグジュアリー感たっぷりなイントロから、
ぐぐっと引き込まれます。輪郭のくっきりとした声は、歌うにせよ、ラップするにせよ、
バックトラックからすっと立ち上り、エレクトロなビートとの相性もバツグン。
ビートがまためっちゃ気持ちよくて、ビートメイクのセンスもいいですねえ。
いったい、どういう人なのかとチェックしてみると、
93年キングストン生まれ、牧師の両親と8歳の時にアメリカへ渡り、
ヴァージニアで育ったというマルチ奏者。現在の拠点はロス・アンジェルス。
スムース・ジャズふうな甘々のサックス、レイヤーされる各種鍵盤、
グルーヴィなベース、ジャジーなギター、すべて一人で操っているそう。
シンガーでラッパー、コンポーザーでプロデューサーという才人です。
「トラップハウス・ジャズ」を自称しているそうですけれど、
トラップ/ハウスというよりはR&B寄りで、クワイエット・ストームを思わす
ジャジーヒップホップといった感が強いですね。
ちなみに、マセーゴというアフリカぽいステージ・ネームは、
先祖のルーツが南アにあることから、「恵み」を意味するツワナ語から取ったのだそう。
お気に入りになって、部屋でよく聴いていたら、
ある日娘に、「最近、マセーゴ、聴いてるよね?」と言われ、びっくり。
なんと、マセーゴは今年2月に来日し、代官山のUNITでライヴをやったのだと。
あらまあ、娘の方が詳しくて、よく知ってるわ。
しかも来日は初めてではなく、すでに17年11月にビルボードライブへ出演し、
18年6月にはワシントンDCのラッパー、ゴールドリンクの初来日に
ゲストとして出演していたんだとか。
う~ん、じゃ今度来日したら、一緒に行きますか。
Masego "LADY LADY" EQT no number (2018)