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コテコテ・ギター ブーガルー・ジョー・ジョーンズ

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Boogaloo Joe Jones  RIGHT ON BROTHER.jpg

連休に『コテコテ・サウンド・マシーン』を読了。

いやあ、楽しかったあ。原田和典さんの名調子を堪能しました。
それにしても、原田さんの文章って、ニクたらしいほどウマいなあ。
心底自分が惚れ込んだレコードを、愛情こめて紹介しているのが
きちんと伝わってくる体温のある筆致で、こういう書き手って、案外少ないもの。
もちろんプロの評論家として、押さえるべきデータはそつなく盛り込んで読者に提供しつつ、
ユーモアを交え、マニア臭さを慎重に避ける配慮も行き届いていて、
ぼくも常日頃こういうふうに書きたいと思いつつも、なかなかできないお手本テキストです。

今回の『コテコテ・サウンド・マシーン』は、原田さんのコテコテ本第3弾。
第1弾の95年『コテコテ・デラックス~GROOVE, FUNK & SOUL』と、
第2弾の99年『元祖コテコテ・デラックス』は、お買い物ガイドとして重宝したものの、
テキストは添え物に過ぎないごく短いものでした。
アルバム100枚に絞って新たに書き下された今回の『コテコテ・サウンド・マシーン』は、
前2作とはまったくの別物の読み物として生まれ変わっています。

今回の100枚で、ラッキー・セヴンの7枚目に選ばれていたのが、
ブーガルー・ジョー・ジョーンズ。思わず嬉しくなって、棚から引っ張り出してきました。
前回の『元祖コテコテ・デラックス』時点では、まだCD化されていなかったんですよね。
アシッド・ジャズ~レア・グルーヴの再評価によって、その名を知られるようになった
ブーガルー・ジョー・ジョーンズでしたけれど、
オリジナル・アルバムのリイシューが実現したのは、もっと後の08年のこと。

伝説の名エンジニア、ルディ・ヴァン・ゲルダーが手がけたプレスティージの名盤を、
自らリマスタリングしたシリーズの55枚の1枚に、
ブーガルー・ジョー・ジョーンズの3作目が選ばれたのには、驚かされました。
だって、マイルズ・デイヴィスの『クッキン』だとか、
ケニー・ドーハムの『クワイエット・ケニー』が居並ぶジャズ名盤カタログの中に、
ブーガルー・ジョー・ジョーンズがまぎれこんだのだから、痛快至極。
保守的なジャズ・ファンがそっぽ向くソウル・ジャズを、よくぞ出したものです。

なんたって、ブーガルー・ジョー・ジョーンズというステージ・ネームがイカしてますよね。
この時が初体験でしたけれど、一聴でシビれました。
オルガンのチャールズ・アーランドとの相性もバツグンで、
このレコーディングは、チャールズの名作“BLACK TALK!” の
わずか2か月後だったんですね。
そういえば、チャールズの“BLACK TALK!” も、
『コテコテ・デラックス~GROOVE, FUNK & SOUL』を読んで知ったんだっけなあ。

「ダチーチー」のトレードマークですっかりおなじみとなった、
バーナード・パーディーのドラムス。
ここでもあの特徴的なハイハット・サウンドを披露して、
グルーヴ・マスターぶりをいかんなく発揮しています。
ラスティ・ブライアントの黒いサックスも、コテコテ度を強烈に押し上げていますよ。

そして主役のギターは、もうソウル・ジャズの申し子としかいえませんね。
けっこう細やかなプレイをするのに、テクニックが前面に出ない
職人肌のプレイには、ウナらされるばかり。
ルディ・ヴァン・ゲルダーのリマスターで、なまなましくも分離の良い音が、
コテコテ・ギターを盛り上げてくれます。

Boogaloo Joe Jones "RIGHT ON BROTHER" Prestige PRCD30659 (1970)

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