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オーガニックなマンデ・ヒップホップ ルカ・プロダクションズ

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Luka Productions.jpg

バマコのアンダーグラウンド・シーンで活動する、
ラッパー/トラックメイカーのルカ・ギンドによるプロジェクト、
ルカ・プロダクションズの新作がすごく面白い。

前2作では、バラフォン、コラ、ジェンベなどの演奏を散りばめてはいても、
全体的にはエレクトロニックなサウンドが支配していましたけれど、
今作はンゴニを中心とする伝統楽器による生演奏をメインに全面展開。
いわば生演奏のマンデ・ヒップホップといった仕上がりになっているんです。
なんだかアレステッド・ディヴェロップメントのデビュー作を思い出しますね。

ちなみに、16年のデビュー作“MALI KADY” は配信とカセット、
17年の2作目“FASOKAN” は配信とLPが出ていましたけれど、
今作は配信とLPに加え、CDも出ています。

トラックメイキングはマンデの伝統音楽に沿ったもので、
ンゴニ、バラフォン、ジェンベといった生音の伝統楽器アンサンブルが主体。
ルカが操るシンセサイザーは、サウンドの後景へと退き、
打ち込みのビートも、華やかなジェンベのソロの引き立て役に徹しています。

伝統的なマンデの歌と、ヒップホップ・トラックがごく自然に並んでいるのが、
ヒップホップ世代だなあと実感させられますね。
マンデの伝統音楽とヒップホップに距離感がまったくないのは、
ヒップホップを外から取り入れているのでなく、
すでに内に持っているという世代の強みでしょいう。

グリオ出身の歌手を大勢ゲストに迎えているほか、
今作のキー・パーソンとなっているのは、若きンゴニ演奏者カンジャファの起用です。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2016-12-12
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-11-01
ンゴニでジプシー・スウィングを演奏するというユニークな音楽性を持つカンジャファは、
ここではンゴニ・プレイヤーとして、ばっちばちに音の立ったプレイを聞かせてくれます。

シタールのサンプル音をフィーチャーしたインド風メロディの‘Indiefoli’
キング・アイソバのようなダミ声ヴォーカリストをフィーチャーした‘Kodouma’ など
ルカ・ギンドのトラックメイクにも豊かなアイディアが詰まっています。

女性グリオの歌とコーラスをフィーチャーし、
ジャンベがグルーヴィなビートを打ち出す‘Badjan’ は伝統的なマンデの歌と演奏で、
続く‘Djessou’ も同じような伝統的な演奏と思いきや、
打ち込みが四つ打ちのビートを刻んでいるし、
ンゴニの反復フレーズをループさせて、生演奏によるンゴニ・ソロをフィーチャーするなど、
サウンドづくりは一筋縄ではありませんね。

オーガニックなマンデ・ヒップホップの名作、誕生です。

Luka Productions "FALAW" Sahel Sounds SS052 (2019)

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