ギター・トリオのアルバムなんですけど、
レーベルがジョン・ゾーンのツァッディークと知って、
すんごいラディカルな演奏をする人なのかな?と身構えていたら、
拍子抜けするほど正統派なプレイに、ありゃりゃりゃりゃりゃ。
ジョン・ショットは、ベン・ゴールドバーグ、T・J・カーク、チャーリー・ハンターとの共演や、
トム・ウェイツほかジョン・ゾーンのプロジェクトに参加してきた、
ベイ・エリアのヴェテラン・ギタリストだそうです。
ツァッディークでの3作目にあたる本作は、
オークランドで4年間一緒に活動してきたアクチュアル・トリオの初録音とのこと。
ジム・ホールみたいなオーソドックスな曲の合間に、
風変わりなリズム構成を持つ“Egyptians” のような曲が入り込んでたりして、
なかなか気を抜けないのが、このアルバムの面白いところ。
ジョン・ショットのプレイも、ジム・ホールからジョン・アバークロンビー、
いろんな人のリックが聞こえてきますよ。
なめらかに弾けるくせに、
わざとひっかかるようなフィンガリングを聞かせるところもすごく面白い。
押し出しの強さはないものの、曲のモチーフに合わせた引き出しの多さが聴きどころ。
「ジェイムズ・ブラッド・ウルマーのために」というサブ・タイトルが付いた“Hemophilia” では、
ウルマーとは似ても似つかぬ繊細さで、ハーモロディクスを展開していますよ。
地味ながら、現代性を加味したギター・プレイに、繰り返し聴きたくなるスルメ盤です。
John Schott "ACTUAL TRIO" Tzadik TZ4011 (2015)