フランス領ギアナの音楽というと、
マルチニークの音楽をイナタくしたという印象が強いんですけれど、
スフランとフェルミエというコンビの新作なんて、まさにそのもの。
ギターのカッティングや、ぴちぴちと弾けるリズム・セクションを聴いていると、
ラ・ペルフェクタとかパカタクといったあたりの
80年代マルチニークの伝統ポップ・サウンドが思い浮かんで、
なんだか懐かしくなりますねえ。
ちょっと古い感じのシンセの音色にも、和んでしまいますよ。
サックスとトロンボーンの2管が舞う生音サウンドも、嬉しいじゃないですか。
主役の二人を囃すコーラスがまた、サウンドを一層楽しくしています。
どこまでもハッピーで、哀愁だとか、憂いなんて、みじんもない音楽ですね。
お子様向けなジャケット・デザインは、
どうやらタイトル曲「魚を捕まえろ」をヴィジュアル化したもののよう。
そのタイトル曲のYouTubeを観ると、
二人が川や海で漁をしたり、市場でさばいた魚を売ったりという、
日常生活感たっぷりのヴィデオで、近所の兄ちゃん的な雰囲気そのものですね。
いずれもカーニヴァル向けのアッパーな曲ばかりで、
カラオケ用のインスト・ヴァージョン2トラックを含む全7曲を収録。
カラフルな仮装衣装で飾られたギュイヤンヌのカーニヴァルのスペクタクルが、
目の前を通り過ぎていくのを目撃するかのようで、
あっという間に終わってしまう短さに、
どこか夢うつつの幻を見たかのような思いを覚えます。
Souffrans Ké Fermier "TCHIMBÉ POSON" Patawa KK12 (2019)