うわー、実にクラウジオ・ジョルジらしいというか、
クラウジオ・ジョルジにしか作れないサンバ・アルバムですね。
80年にオデオンからデビューした時は、
メロウなMPB系サンバで登場したクラウジオ・ジョルジでしたけれど、
ソロ・デビュー前は、ネイ・ロペスやルイス・カルロス・ダ・ヴィラなど
伝統系サンビスタのプロデュースを手掛けていただけに、意外に思ったものでした。
クラウジオは、若い頃にカルトーラやイズマエル・シルヴァなど、
マンゲイラのサンビスタと交流し、カルトーラとの共作も残しているほどで、
伝統サンバを音楽性の芯に持っている人です。
その後、ヴィラ・イザベルのサンバ作家として長く裏方で活躍し、
パゴージ・ブームの時代になって、ようやくソロ・デビューしましたけれど、
クラウジオのサンバはパゴージではなく、伝統サンバなのにポップという、
いそうでいない稀有な才能の持ち主でした。
ソロ・アーティストとしては寡作の人ですけれど、01年の“COISA DE CHEFE”、
07年の“AMIGO DE FÉ” ともに、伝統サンバと洗練されたMPBのサウンド・センスを
あわせ持ったクラウジオの個性を存分に発揮した傑作で、ずいぶんと愛聴したものです。
そんなクラウジオが70歳を迎えるにあたって制作した新作は、
サンバ・ジャズを謳ったアルバム。
どんな趣向なのかと思えば、バックがスルドやパンデイロなどのパーカッション隊ではなく、
ドラムスとベースのリズム・セクションを中心に、ギターやサックスなどが、
ジャズぽいソロをとるというプロダクションなのですね。
といっても、取り立ててジャズ色が強い印象はなく、
楽曲は伝統サンバそのものだったり、爽やかなMPBだったりで、
いつものクラウジオらしい作風を湛えた仕上がりとなっています。
アタバーキ1台をバックに歌い、途中ギターやフルートなどが絡むという、
バイーアふうサンバもありますよ。
ドラムスに、長年の盟友である名ドラマー、
ウィルソン・ダス・ネヴィスも参加しているほか、
モナルコの息子マウロ・ジニースがゲストで1曲、クラウジオと一緒に歌っています。
からっと明るいクラウジオのヴォーカルも、とびっきりの爽やかさで、
いくつになってもフレッシュさを失わないクラウジオらしいサンバを堪能できます。
Cláudio Jorge "SAMBA JAZZ, DE RAIZ" Mills MIL063 (2019)
Cláudio Jorge "COISA DE CHEFE" Carioca 270.012 (2001)
Cláudio Jorge "AMIGO DE FÉ" Carioca/Zambo CD0008 (2007)