古風なのに、フレッシュ。
そんな相反する要素を併せ持った魅力を持つ、リーシャ・ケリーのアイリッシュ・ハープ。
5年ぶりとなる新作でも、彼女のハープの魔力は変わることがありません。
チーフタンズ、クリスティ・ムーア、メアリー・ブラック、ドーナル・ラニー、シャロン・シャノンほか
数多くの名だたるミュージシャンと共演し、もはや若手と呼ぶにはふさわしくない、
豊富なキャリアを積んできたリーシャですが、ソロ・アルバムは今回で3作目と寡作な人です。
そういえば、01年のモレートとトリーナのニ・ゴーナル姉妹の来日にも同行したんでしたね。
今作はケリー氏族にちなんだ曲を集めたアルバム。
7曲目と11曲目に鳥のさえずりが聞こえてくるだけの、
今回も全編、リーシャ一人によるソロ演奏となっています。
粒立ちの良い音色で、爽やかさと軽やかさがリーシャの持ち味。
甘さに流れず、優雅さがあって気品を感じさせるプレイが、彼女の良さですね。
全11曲、35分ほどの小品なんですが、メドレーで紡がれるメロディの表情の違いは、
風景が鮮やかに変化していく様子を見るかのようで、
息を呑んだまま、じっと聴き耳を立ててしまいます。
流して聴くこともできるでしょうけれど、
彼女のプレイは、聴き手を集中させてしまう魔力を持っています。
Laoise Kelly "FAILTE UI CEALLAIG" Harpo LK004 (2015)