いや~、これまたアムハラ演歌の味わいを堪能できる快作ですね。
こぶし回しのキモチいいことといったら、ありませんよ。
かなりのヴェテランとおぼしきルックスの人ですが、
アサフ・ダバルキの名は初耳です。
この人のYouTube を観ると、かなり古そうな映像やカセットまで出てくるので、
70年代の黄金時代から歌ってきた人なのかもしれませんね。
テオドロス・タデセと一緒に歌っているヴィデオや、
ラス・バンドをバックに歌っているヴィデオもあるので、
アメリカへ渡って、ワシントンD.C.のエチオピアン・コミュニティで
活動してきたシンガーなのでしょう。
新作も在米エチオピアン・コミュニティのレーベル、ナホンからのリリースだし、
カムバック作という文字もみられるので、しばらくシーンから離れていたのかもしれません。
本作はそんなブランクを感じさせない歌声で、熟達したヴォーカルを聞かせます。
じっくりと歌うアムハラ演歌あり、
マシンコをフィーチャーしたハチロクのダンス・ナンバーあり、
いずれもアサフの練れたこぶし回しをたっぷり味わえるんですけれど、
哀愁を帯びたワシント(笛)をフィーチャーした民謡調の曲が、特にいいなあ。
声を張るとかすかにひび割れるあたりが、なんともいい味ですよねえ。
若手がコンテンポラリーなサウンドに寄って、ヴォーカルもメリスマを利かせない
スムースなスタイルがメインになっているので、
エチオピア演歌はヴェテランに頼らざるを得ません。
Asefu Debalkie "LTEGNABET" Platinum/Nahom no number (2019)