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エチオピアン・ディアスポラのアフロ・ポップ・シンガー ツェディ

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エチオピアのコンテンポラリー・ポップスというと、現地で人気の高いレゲエを含めて、
そこそこみんな上手いんだけど、飛び抜けた才能が見当たらないなあと思っていたら、
出てきましたね、頭一つどころか、二つも三つも抜けた人が。
それが、現在オークランドに暮らすアフリカン・デイアスポラの
若き女性シンガー・ソングライター、ツェデイことツェダル・テスファフン。

ケニヤで生まれ、エチオピアに育ち、アメリカへ渡ったというツェディ、
幼い頃はレゲエやヒップホップに夢中だったそうですけれど、
十代後半からシンガー・ソングライターとして曲を作るようになってからは、
インディア・アリー、エリカ・バドゥ、ジル・スコット、
ローリン・ヒルに影響を受けたとのこと。
そう聞けば、ネオ・ソウルど真ん中という音楽性を感じさせますけれど、
本作で繰り広げられる音楽は、アフロビーツそのもの。

ナイジェリアのアフロビーツが、パン=アフリカン・ミュージックになったことを、
これほど強烈に意識させられるアルバムもありませんね。
その影響力の大きさを、あらためて認識させられましたね。

涼し気なスティールドラムのサンプリングがトロピカル・ムードを誘う
オープニングのレゲエから、従来のエチオピア産コンテンポラリーポップスのクオリティを
はるかに凌ぐプロダクションを聞かせます。
なるほどネオ・ソウルを通過した人だなと感じさせるソング・ライティングも巧みで、
耳に心地良いメロディを書ける人ですね。

あ、もちろん言うまでもなく、ここにエチオピアの伝統的な音楽要素はありません。
ディアスポラが生み出したグローバル・ポップだからこそ、
アフロビーツとの親和性の高さが示されているわけですからね。
いまのところデジタル・リリースはなく、エチオピアのみでCDリリースされており、
今後現地での評判がどのようになるのかにも、興味をそそられます。

Tsedi "SEW" Musixmatch no number (2019)

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