ミャンマーの不思議ピアノ、サンダヤーの名手
サンダヤー・チッスウィのアルバムを手に入れました。
この人については、以前<ミャンマーの亀井静香>と書いて紹介しましたが(笑)、
覚えておられる方がいらっしゃいますでしょうか。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2015-06-17
古典/伝統音楽専門のイースタン・カントリー・プロダクションから出た
旧録復刻の2作目で、以前このレーベルから出た
“HIS ART, HIS TOUCH” より音質の良い録音が目立つので、
少し後の録音を編集したもののようです。
とはいえ、2作とも曲ごとの音質のバラツキが激しく、クレジットもないので、
録音時期は不明なのですけれど。
『忘れ得ぬ即興』というタイトルの本作。
あの独特のピアノ・スタイルの即興がたっぷり味わえるのかと思いつつ、
どこまでが作曲で、どこから即興なのかが、もともとよくわからないミャンマー音楽なので、
果たして演奏を聴いただけで判別できるのやら。
まったく自信ないまま聴いてみたものの、やっぱりよくわかりませんねえ。
音質の良くない古そうな録音の1曲目だけ、
ドラムスとベースのリズム・セクションが付き、
ラウンジーなカクテル風ピアノを聞かせるのですけれど、
この曲など完全に作曲されたもので、即興を思わせるパートはありません。
他も完全即興と思える曲はなく、
ミャンマー版キース・ジャレット/チック・コリアが聞けるか!?
な~んて過剰な期待はしちゃいけないみたいですね。
古典と現代がスイッチするタイプの楽曲でなく、
古典をもとにコンポーズしたような曲では、
ピアノ練習曲のような器械的な運指で演奏するパートが、おそらく即興なんでしょうね。
パッタラー(竹琴)のチューニングと同じ7音音階に合わせたサンダヤーは、
パッタラーと同じ演奏法から発展したと聞きます。
チッスウィの演奏を聴くと、西洋クラシック音楽のピアノ奏法も習熟していて、
そのミックスした奏法が面白く聞こえます。
いまどきのクラシック音楽のピアノ練習曲では、
バイエルやツェルニーは使われなくなったそうですけれど、
ここで聞かれるピアノは、そんなピアノの運指を連想させますね。
そんな器械的なフレーズと、ミャンマー伝統のメロディが織り交ぜて奏でられる
不思議音楽。やっぱり謎なミャンマーのピアノ、サンダヤーです。
Sandayar Chit Swe "HIS MEMORABLE IMPROVISATION" Eastern Country Production ECP-N29