ジョー・ホールもまた、ゴリゴリの伝統派といえるクレオール・ミュージシャンです。
国会図書館にも録音を残す祖父のクレメント“キング”ネッドからアコーディオンを学び、
ボア・セック・アルドワンやマーク・サヴォイ、ノートン・シミエンといった
伝説的な先達との共演を通して、自身のザディコを深めてきた人ですね。
相棒のフォレスト・フーヴァルのフィドルとのコンビネーションも磨きがかかり、
おおらかなツー・ビートのなかで、細かく刻むリズムが
持続力のある逞しいグルーヴを巻き起こします。
シンプルなビートながら、アコーディオンとフィドルがかけあう
シンコペーションの利いたフレージングが、前に出たり後ろに下がったりしながら
演奏に奥行きを生み出していて、聴く者を飽きさせません。
ジョーのハスキーなヴォーカルも、
ルイジアナの大地が育んだ土臭さをいっぱいに感じさせるもので、
たまらない味わいがあります。もちろん歌はフランス語ですよ。
ストレート&シンプルなジョー・ホールのザディコは、
大ヴェテランのゴールドマン・ティボドーの後進ばかりでなく、
アメデ・アルドワンの遺産を受け継ぐ資格を持ったクレオール・ミュージシャンです。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2011-05-31
Joe Hall & The Cane Cutters "AYE CHER CATIN" Fruge FR20194 (2019)