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成長した7弦ギタリスト ジョアン・カマレロ

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João Camarero  VENTO BRANDO.jpg   João Camarero.jpg

う~ん、やっぱりいいなあ、このギタリスト。
ショーロの7弦ギタリスト、ジョアン・カマレロの2作目です。
アカリから出たデビュー作で、ラファエル・ラベーロやマルコ・ペレイラを継ぐ人として
注目していたんですけれど、クラシック系レーベルから出た今作では、
グンと表現を広げたギターを聞かせてくれ、すっかり嬉しくなってしまいました。

まずジョアンのギターの良いところは、エッジの立った弦の響き。
爪弾き独特の立ち上がりの鋭いサウンドは、クラシック・ギター奏法の基礎ですけれど、
このきりっとギターを鳴らすサウンドが、ソロ・ギターではとても重要ですよね。
ジョアン・カマレロが師事したジョアン・リラは爪弾きじゃなくて、
指の腹で弾くギタリストなんですよね。
師匠とはスタイルが違うわけなんですが、指の腹で弾くと、
こういうシャープな響きは出せません。
ジョアン・リラがゲスト参加した2曲を聴けば、違いは明らかでしょう。

そして、今作でグッと良くなったと感じたのが、緩急のつけ方が巧みになったこと。
デビュー作でもったいなあと感じたのが、複雑なパッセージを、
あまりにサラサラと難なく弾ききってしまうところでした。
聞かせどころといった演出がなく、超絶技巧を垂れ流してしまうプレイは、
聴き手にこの人の運指の凄さが伝わらないように思えました。

それが今作では、ギターの響かせ方やフレーズの組み立ての両面で、
静と動の使い分けをするようになり、高度なテクニックを見せつけるばかりでなく、
押し引きを豊かにした表現が、いっそうメロディの美しさを際立たせてています。

デビュー作では、クリストヴァン・バストスの曲で、
クリストヴァンのピアノがゲストで加わったほかは、
ジョアン・カマレロの完全独奏でしたけれど、
今回もジョアン・リラがゲスト参加した2曲(うち1曲はカヴァキーニョも参加)を除いて、
完全独奏アルバム。ソロ・ギター好きには、たまらないアルバムです。

João Camarero "VENTO BRANDO" Guitar Coop GC03JOC18 (2018)
João Camarero "JOÃO CAMARERO" Acari AR51 (2016)

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