ナイジャ・ポップのシミの新作“OMO CHARLIE CHAMPAGNE, VOL. 1”、
待てど暮らせどフィジカル化の知らせは届かず(泣)。
CDは出さないつもりなんですかねえ、はぁ。
あきらめ物件となりつつあったところ、
テニなる新人女性シンガー・ソングライターのデビューEPが届きました。
一聴、クリアなビート音に、脳ミソがじーんと鳴る快感を覚えました。
近頃のナイジャ・ポップって、どれも音がすごく良くなっていますよね。
機材がいいのか、ミックスがいいのか、その両方なのか、
エンジニアリングに詳しい人に訊いてみたいなあ。
楽器音ひとつひとつの粒立ちが際立っているんだけれど、
耳に痛いサウンドとはならず、ふくよかにまとめられているところが、すごくいい。
さて、テニことテニオラ・アパタは、93年レゴス生まれのシンガー・ソングライター。
子供時代はワシウ・アインデが好きだったというとおり、
フジとジュジュで育ったというアフロ・ポップのニュー・スターです。
テニの曲のことわざを多用する歌詞や物語の世界は、
フジやジュジュの影響から生み出されているものだそうで、
ヒット曲となった‘Billionaire’ にも、それが発揮されているといいます。
アフロハウスのビートにハイライフのギター・リフを組み込んだこの曲、
ノリウッド版「スラムドッグ$ミリオネア」みたいなヴィデオを観ると、
テニは渡辺直美をホーフツとさせる役者ぶりを発揮しています。
ジュジュやフジの影響はテニの音楽性にも見え隠れしていて、
‘Nowo’ では、テニの歌の後にジュジュのような男性コーラスが登場する
ブリッジが差し挟まれていて、ヨルバ臭さがぐっと立ち上ってきますよ。
ほかにも、メロディやパーカッションのビートメイキングなどに、
ヨルバらしさがあちこちにうかがえますね。
長くヨルバ・ミュージックに心酔してきた者にとっては、
こういうイマドキなアフロビーツの中でうっすらとでも、
そんなヨルバ風味を見つけると、嬉しくってならないのです。
Teni "BILLIONAIRE" Dr. Dolor Entertainment no number (2019)