現役復帰したエチオピア人鍵盤奏者ハイル・メルギアが、
オウサム・テープス・フロム・アフリカから復帰第2作となる新作をリリースしました。
前作“LALA BELU” は、ポーランド人ベーシストとオーストラリア人ドラマーとの
トリオ編成でしたが、今作はベーシスト、ドラマーともにメンバー交代し、
曲によりマシンコ、ギター、サックス、トロンボーン、ヴォーカルのゲストを加えています。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2018-03-03
交代したベース、ドラムスの両人とも、
ワシントンDCを拠点に活動するミュージシャンとのことで、
同郷人なのかもしれませんね。
ドラマーのケネス・ジョゼフは、ルーツ・レゲエ・グループ、カルチャーの
02年のライヴ盤“LIVE IN AFRICA”で叩いていた人だそうです。
本作は、ハイルが弾くアコーディオンとゲストのマシンコが、
泣きのフレーズを奏でる哀愁味たっぷりのティジータからスタート。
前作はジャズ系ミュージシャンとの共演だったせいか、
エチオ・ジャズ色が強かったですけれど、
今回は歌謡色が強く、エチオピア歌謡のインスト版といった仕上がりになっています。
レゲエの‘Abichu Nega Nega’ は、ハイレのピアノが生ダブ感溢れるプレイをしていて、
引き込まれます。ドラムスはカルチャーのバックで叩いていただけあって、本格的です。
途中でフォー・ビートになって、ジミー・スミスばりのオルガンを聞かせる
‘Yene Abeba’ もグルーヴィですね。
テディ・アフロの出世曲となった‘Shemendefer’ をカヴァーしているのも、
歌謡色を強めた本作のハイライトでしょう。当時テディ・アフロは、
まだ改名前のテウォドロス・カサフンを名乗っていた頃でした。
大ヒットとなったこの曲のキャッチーなコーラス・パートを、
ゲスト・ヴォーカリストが歌っています。
アルバムの最後は、抒情味たっぷりのティジータで締めくくられ、
深い余韻を残す聴後感に満たされます。
Hailu Mergia "YENE MIRCHA" Awesome Tapes From Africa ATFA037 (2020)