ウェイン・クランツの新作のジャケットに、オドロキ。
え? この虚ろな表情したオッサンが、あのウェイン・クランツ??
ウェイン・クランツといえば、マイク・スターンと音楽性も容姿もクリソツな、
ロック色の強いコンテンポラリー・ジャズ・ギタリスト。
あのロック野郎なロング・ヘアは、どこへいってしまったのやら。
はぁ、誰だって年をとるとはいえ、この変わりようは、ちょっと、ねぇ。
人さまの年齢をとやかく言える身分では、こちらもありませんが、
CDを手にしばしボーゼン。
90年にエンヤから出したアルバム“SIGNALS” で、
お気に入りのギタリストだったので、棚に戻すのも忍びなく、買ってまいりました。
今作のハイライトは、全面的にフィーチャーされたクリス・ポッター。
存分に吹きまくっていて、今やもう無敵のサックス奏者ですね。
ウェインと長年の相棒のドラマー、
キース・カーロックの重量級のドラミングとの相性もバツグンです。
意外に思ったのは、これまでサウンドがフュージョンぽくなるからと、
キーボードを自分のバンドに入れるのを敬遠していたウェインが、
みずからキーボード(ローズ)を弾いているところ。
そのせいか、今作は爆音ギターは抑え気味。
エッジの利いたリフは、そこかしこに顔を出してはいるけれど、
せっかくクリス・ポッターを起用したんだから、
もっと轟音炸裂させたギターのインプロで、真っ向勝負して欲しかったなあ。
ほか、ベースはウィル・リー、ティム・ルフェーベル、オーランド・レ・フレミング、
ピノ・パラディーと、曲ごとに交替して聴き比べができるのは、妙味かな。
今年1月にトリオで来日した時は、
ドラムスのキース・カーロックとティム・ルフェーベルが一緒だったんだっけ。
女房のガブリエラ・アンダースも参加していますが、
エフェクトのようなヴォイスのみの参加で、
彼女らしさを発揮するところまではいかず、これは残念。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2016-02-16
コンテンポラリー・ジャズというより、
ジャズ・ロックといった方がぴったりくるタイプのウェインのギターは、
フリー・スタイルというか、ジャンルレスな音楽性が魅力。
本作はその意味では、奔放さを控えめにして、
コンテンポラリーなサウンドを重視した作品といえそうです。
Wayne Krantz "WRITE OUT YOUR HEAD" no label no number (2020)