ストーリーのある音楽を紡いだ作品といえるのかな。
イスラエルのトランペッター、アヴィシャイ・コーエンの新プロジェクト、
ビッグ・ヴィシャスの初作。
聴く前は、ジャケットのロック・バンドふうのペインティングが、
ECMらしからぬアートワークに思えましたけれど、
中身を聴いてみれば、実にECMらしい作品。
ビート・ミュージックからクラシックまで多彩な意匠をまとっているものの、
端正なサウンドと上品なその仕上がりは、いかにもECM的。
あー、もっとバリバリ、トランペット吹いてくんないかなとじれったく感じるのは、
ダン・ローゼンブームを激愛聴中のせいでしょうか。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
こればかりは好みの問題だからしょうがないけど、
マッシヴ・アタックのカヴァー曲などで聞けるアンビエントなムードなどは、
ちょっとぼくにはヌルく思えるのも、正直なところ。
まあ、ベートーベンとマッシヴ・アタックが違和感なく同居できるのは、
イマドキのジャズらしいところです。
最初は物足りなく感じたアルバムですが、
何度か聴くほどに、メロディアスなトラックが耳残りして、
結構気に入ってしまいました。聞き慣れてみると、
これはポップなジャズ・ロック・アルバムなんじゃないかと思えるようになりました。
エレクトロニカやプログレも内包しているから、
ジャズよりロック・ファン向けじゃないですかね。
Avishai Cohen "BIG VICIOUS" ECM ECM2680 (2020)