灼熱の太陽に焼かれ、遠景のサハラが熱で揺らめくジャケットのアートワークが、
トンブクトゥのイメージを鮮やかに伝えます。
トゥアレグのグリオ・グループ、アル・ビラリ・スーダン、
7年ぶりの新作のタイトルは、ずばり「トンブクトゥ」。
火傷しそうなジャケットの色が、音楽の熱気を見事に表わしていますね。
前作ではテハルダント2台、カラバシ2台の4人編成だったのが、
今作ではテハルダント奏者をもう一人加え、5人編成となっています。
しかもそのうちの1台のテハルダントがアンプリファイされて(新参加のメンバー?)、
脳天直撃のノイジーなサウンドを生み出しているんですよ。
おかげで、前作の滋味溢れるシブいサウンドからは一変、
激烈トランシーなサウンドに変貌しています。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2014-01-09
いやー、スゴイな、これ。
でも、このサウンドに既聴感あるのは、
サヘル・サウンズから出た3人組タラウィット・トンブクトゥを聴いていたからですね。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2018-11-12
タラウィット・トンブクトゥは、アンプリファイされたテハルダントと、
ベース役のもう1台のテハルダントにカラバシよるる3人組。
カラバシの重低音を強調したローファイなサウンドに、ヤられました。
たった3人であの迫力は、ミックスの効果もあったと思いますけれど、
こちらは人数が倍の6人なので、音の厚みが違います。
その場を切り裂くようなアンプリファイド・テハルダントの響きが、とにかくスゴイ。
これに勝てる弦楽器は、ジミ・ヘンドリックスの
エレクトリック・ギターぐらいだろと思わせる迫力は、霊力すら感じさせますよ。
生音で絡むテハルダントも裏に回るばかりでなく、
アンプリファイド・テハルダントの合間をくぐる反復フレーズで、存在感を示しています。
投げつけるようなヴォーカルの荒々しさにも、聴き惚れるばかり。
祝祭のダンス、タカンバの饗宴を、ぜひトンブクトゥで体験してみたい、
そんな思いを強くさせる傑作です。
Al Bilali Soudan "TOMBOUCTOU" Clermont Music CLE029 (2020)