ナイジェリアのソウル・マン、オーランド・ジュリウスが
ナッシュビルで録音した98年のCD。
へえ~、こんなのが出てたんだ。知りませんでしたねえ。
オーランド・ジュリウスは74年に渡米して、
東海岸でヒュー・マセケラと仕事をした後、西海岸に移り、
84年には“DANCE AFRO-BEAT” というアメリカのマーケット向けの
アルバムをシャナチーから出しましたよね。
その後の活動ぶりを知らず、調べてみたところ、
“DANCE AFRO-BEAT” のセールスが好調だったのに気を良くし、
翌85年、21人のナイジェリア人ミュージシャンを集めて
ナイジェリアン・オール・スターズを結成、全米ツアーに出ています。
92年には数多くのフェスティヴァルに出演し、精力的に各地を回ったそうです。
そんなロード続きの生活に終止符を打ち、ナッシュヴィルに居を移したのが94年。
その理由は、アンブローズ・キャンベルと仕事をするためだったそうです。
ナイジェリアン・ハイライフの伝説的なミュージシャン、アンブローズ・キャンベルは、
当時レオン・ラッセルのバンドのドラマーに雇われ、ナッシュビルで暮らしていたんですね。
オーランドとアンブローズは、70年代にカリフォルニアで親交ができ、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2013-05-24
のちにオーランドの妻となったラトーヤ・アドゥケを紹介したのも、
アンブローズだったそうで、アメリカで縁が深くなったようです。
オーランドは、ナッシュヴィルの地元TV局で、
アフリカ音楽のヴィデオを流す番組制作をする一方、
自宅の倉庫を改造したレコーディング・スタジオのアフロ・ビート・スタジオを作り、
新作のレコーディングに臨んだようです。
『伝説は続く』と題された本作は、“DANCE AFRO-BEAT” から抜粋した曲に、
新曲を追加した変則的新作となっています。
“DANCE AFRO-BEAT” 収録曲は、ハンド・クラッピングのデジタル・ビートや
リン・ドラムなど、いかにも80年代サウンドなんですけれども、
98年録音の新録曲は、トーキング・ドラムを全面にフィーチャーしているのがミソ。
旋律楽器が後退し、ドラムスやパーカッションのステデイなビートをバックに、
トーキング・ドラムが雄弁に叩きまくるソロ・パートが挟みこまれたり、
トーキング・ドラムが叩くメロディを、コーラスがユニゾンで歌うといった、
まるでジュジュを思わせる場面が多数登場します。
もちろん、オーランドのテナー・サックスを含むホーン・セクションがきらびやかに鳴る、
ばりばりのソウル/ファンク・サウンドではあるんですけれど、
前景化したトーキング・ドラムの存在と、ヨルバの古謡に通じるジュジュぽいメロディが
アフロ・ソウル・サウンドとミックスされて、絶妙な味わいを醸し出しています。
奥さんのラトゥーヤが作曲してヴォーカルをとった曲もあり、
ヨルバ風味のアフロ・ソウルは、なかなかに美味です。
[参照]
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2014-10-20
Orlando Julius "THE LEGEND CONTINUES" Ayo Music no number (1998)