アディス・アベバ=メルボルン・コネクション ムラトゥ・アスタトゥケ&ブラック・ジーザス・エクスペリエンス
エチオ・ジャズのゴッドファーザー、ムラトゥ・アスタトゥケと オーストラリアのエチオ・ジャズ・バンド、ブラック・ジーザス・エクスペリエンスとの 共演第2作が出ました。16年の“CRADLE OF HUMANITY” 以来、4年ぶりです。 メルボルンを拠点とするブラック・ジーザス・エクスペリエンスは08年結成、 同年にデビュー作を出します。翌09年、ムラトゥ・アスタトゥケが...
View Articleレユニオンのクレオール・ジャズ・シンガー・ソングライター グウェンドリーヌ・アブサロン
レユニオンの女性ジャズ・シンガー・ソングライターの2作目。 名前からもわかるとおり、インド系の出自を持つ人ですね。 グウェンドリーヌ・アブサロンは、92年、サン・ドニの生まれ。 叔父がミュージシャンで、その影響でギターを覚え、 10歳の時には、マロヤのアルバムにコーラスとして参加したことがあるそうです。 クラシックの声楽からジャズまで学び、はや十代の若さで、...
View Articleジャズ・ミネイロのシンガー・ソングライター レオ・リベイロ
これはもう、パット・メセニー・グループの再来といっていいでしょうね。 “FIRST CIRCLE” から“LETTER FROM HOME” に至る、 80年代のメセニー・グループの作品に惚れ込んでるファンなら、 どストライクのアルバムでしょう。 レオ・リベイロという、ミネス出身のシンガー・ソングライターの自主制作盤です。 オープニングから、いかにもミナスなメロディが出てきて、...
View Article生粋の裏山サンビスタのデビュー作 ミンゴ・シルヴァ
これぞサンバ節! サンバの粋がぎゅっと詰まった絶妙な節回しに、背中のゾクゾクが止まりません。 ヴェーリャ・グァルダと遜色のないコクを湛えた歌いぶりが、もうたまらーん。 歌っているのは、50歳にしてデビュー作を出したミンゴ・シルヴァ。 モアシール・ルス率いるサンバ・ド・トラバリャドールで歌ってきた人だそうで、 キャリア十分なサンビスタですね。...
View Articleレソトのアコーディオン音楽ファモ タウ・エー・マッセカ
南アフリカ共和国に囲まれた内陸国レソトに、 ファモと呼ばれるアコーディオン音楽があります。 ファモのもっとも有名なグループに、タウ・エー・マッセカがいますけれど、 80・90・91年に出た彼らの3枚のLPから選曲したCDが、 このほど南アでリリースされました。 タウ・エー・マッセカが南ア国内で大きな名声を得たのは、 アコーディオン奏者のフォレーレ・モロヘロアが、...
View Article南コーカサス地方の少数民族の歌 ヴォヴァ
トルコ北東部の黒海沿岸に、 ヘムシンというアルメニア系の少数民族が暮らしていることを、初めて知りました。 少し調べてみたところ、ヘムシン人はアルメニア系といってもキリスト教徒ではなく、 イスラム教徒だというところに、文化的なアイデンティティをうかがわせます。 ヘムシン人グループのヴォヴァが05年に出したデビュー作は、 世界で初めてヘムシン語で歌われたアルバムだったそうで、...
View Articleアラブ色濃厚なデイモーティカ マリア・ノミクー
いきなり冒頭の曲が、弦オーケストラのイントロに始まり、 ダルブッカがリズムを刻み、ついでヴァイオリンとウードが登場。 え? え? これ、ギリシャのディモーティカの歌手のアルバムじゃなかったの?? まるっきりアラブ歌謡が出てきたので、あわてちゃいました。 こんなディモーティカがあるんですねえ。 アラブ色は、曲が進むにつれだんだん薄れてきて、...
View Articleイラン革命前の伝統ポップ アフディエフ
へぇ~、こんなイランのポップスがあるんだ! いやぁ、初めてですねえ、こんな民俗色濃いペルシャン・ポップスを聴いたのは。 革命前のイラン、おそらく70年代録音のものだと思うんですけれど、 まるで湾岸ポップスのようなパーカッシヴなサウンドが飛び出して、 ゴキゲンになっちゃいました。 アフディエフという女性歌手、ずいぶん昔に1枚買った記憶があるなあ。...
View Articleジブチ初のポップス・アルバム グループRTD
フィールド・レコーディングの民俗音楽のレコードは別として、 いまだポップスのレコードを1枚も聴いたことがないという国が、アフリカにはあります。 そのひとつが、77年にフランスから独立したジブチ。 ソマリア、エチオピア、エリトリアと国境を接し、 ソマリ人系のイッサ人が多く暮らす国なので、 ソマリ・ポップスに近い音楽がありそうな予感はするものの、 情報がまったく伝わってこない、長年ナゾの国なのでした。...
View ArticleUKブラック・ジャズのレガシー シード・アンサンブル
またも南ロンドン発のジャズの好アルバムに遭遇しました。 アルト・サックス奏者で作曲家のキャシー・キノシ率いる シード・アンサンブルのデビュー作。 1年半も前に出ていたんですね。 アルト・サックス、テナー・サックス、トランペット2、 トロンボーン、チューバの6管を擁し、 ピアノとローズには、レギュラー・メンバーのサラ・タンディと ゲストのジョー・アーモン=ジョーンズが、曲により弾き分けています。...
View Articleタウンシップ・ジャズの心意気 パット・マッシキザ
うわぁん、やっと届いたあ! 南アのトレーダーから、「アンタが欲しがってたCDを見つけたよ」という メールが3月の上旬に入り、小躍りしたのもつかの間、 なんとCO-VID19の影響で日本向け出荷が停止という措置に、がーん。 「禁輸が解けたら送るから」という慰めのメールをもらって、待つこと3か月。 6月に入ると空輸が再開したという知らせが入り、DHLでようやく無事到着。...
View Articleギネア=ビサウとカーボ・ヴェルデの邂逅 バンデ=ガンボア
う~ん、これは、ギネア=ビサウとカーボ・ヴェルデの音楽に 魅せられてきた者には、感慨深いプロジェクトですねえ。 リスボンにそれぞれの国のミュージシャンを集め、 両国の独立まもない70年代後半から80年代の曲を再演するという、 企画アルバムの登場です。 この企画を立てたのは、フランスのビートメイカーのガッツという人だそうで、...
View Articleサヴァイヴァーからヴォーカル・グループへ ザ・ソワーズ・グループ
こんなステキなヴォーカル・グループがいたとは知りませんでした。 10年以上も前にタンザニアで出ていたアルバム。 タンザニアでレコーディング、オーストラリアでミックスされ、 CDのプレスもオーストラリア製ということで、デザインも洗練されていて、 このまんまインターナショナルなマーケットに通用する作品に仕上がっています。 ソワーズ・グループは、ルワンダ内戦から第一次コンゴ戦争に至る混乱期を...
View Articleヨルバ風味のアフロ・ソウル オーランド・ジュリウス
ナイジェリアのソウル・マン、オーランド・ジュリウスが ナッシュビルで録音した98年のCD。 へえ~、こんなのが出てたんだ。知りませんでしたねえ。 オーランド・ジュリウスは74年に渡米して、 東海岸でヒュー・マセケラと仕事をした後、西海岸に移り、 84年には“DANCE AFRO-BEAT” というアメリカのマーケット向けの アルバムをシャナチーから出しましたよね。...
View Articleキクユのポエトリー・ダンス・ミュージック ムウォンボコ
ケニヤのキクユ人の古いポピュラー音楽を聞くことができる、貴重なCDを見つけました。 うち1枚は、ケニヤがまだイギリスの植民地だった1930年代に生まれた、 キクユ人のダンス音楽ムウォンボコを演奏したアルバムで、タイトルもそのものずばり。 ムウォンボコを代表するアコーディオン奏者であり、 キクユのポピュラー音楽のパイオニアでもあるH・M・カリウキと、...
View Articleキクユ・ベンガの第一人者 ジョゼフ・カマル
もう1枚入手したのは、キクユ人ミュージシャンとしてもっとも有名な ジョゼフ・カマルの60年代ヒット曲集です。 ジョゼフ・カマルは、ケニヤのポピュラー音楽黎明期を代表する 重要な音楽家であるばかりでなく、 大統領や支配層のエリートに辛辣な批判を浴びせた曲を歌い、 政治活動家としても歴史に名を残した人です。 60~70年代にEPをたくさんリリースし、LPも出しています。...
View Article懐かしいマコッサのシンガー・ソングライター アクセル・ムーナ
うわぁ、なんて懐かしい名前! カメルーンのマコッサのシンガー・ソングライター、 アクセル・ムーナのCDが、91年に出ていたなんて!! コロナ禍でレコ屋巡りができないかわりに、ネットで次から次へと、 思いもよらないCDが、まあ網にかかること、かかること。 新作じゃなくて、中古CDの紹介続きで恐縮なんですが、 今回はアフリカ音楽に夢中になりたての頃、 好きになったミュージシャンのお話。...
View Article33年ぶりに蘇った作品と引退劇 ハリス・アレクシウ
ギリシャ歌謡の帝王は、ヨルゴス・ダラーラスが不動の地位を保っていますけれど、 女王ハリス・アレクシウの方は、2000年代を最後にすっかり衰えてしまったことは、 誰もが認めざるを得ないところだったのではないでしょうか。 ぼくも09年の“I AGAPI THA SE VRI OPOU KAI NA’SAI” を最後に、 ハリスの新作を買うのをやめてしまい、...
View Articleマンデのソウルを伝えて ママ・シソコ
今年75歳となるマリのヴェテラン・ギタリスト、ママ・シソコの新作。 ひょっとすると、マリ最長老のギタリストなんじゃないのかしらん。 45年生まれのママ・シソコは、叔父のババ・シソコのもとでンゴニを学び、 その後独学でギターを覚え、ンゴニをギターに移し替えた マンデ・スタイルのギターを弾き始めます。 マリの初代大統領モディボ・ケイタにギターの腕前を見初められて、...
View Articleスタンダードを悪戯に料理 サム・ゲンデル
うわー、とんでもないね、こりゃ。 とてつもなく革新的なスタンダード集で、 さすがのスタンダードぎらいのぼくも、これには降参です。 エクスペリメンタル・ヒップ・ホップを経た音響的なアプローチで、 現代的に解釈したジャズ、といえばいいんでしょうかね。 でも、そうまでして、なぜ「スターダスト」や「サテン・ドール」なんてダサい素材を 選ぶ必要があったのかという疑問は、残りますねえ。...
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