いきなり冒頭の曲が、弦オーケストラのイントロに始まり、
ダルブッカがリズムを刻み、ついでヴァイオリンとウードが登場。
え? え? これ、ギリシャのディモーティカの歌手のアルバムじゃなかったの??
まるっきりアラブ歌謡が出てきたので、あわてちゃいました。
こんなディモーティカがあるんですねえ。
アラブ色は、曲が進むにつれだんだん薄れてきて、
デイモーティカらしいメロディが出てきて、ようやくギリシャらしくなるんですが、
これほどアラブぽいデイモーティカというのも珍しいんじゃないでしょうか。
マリア・ノミクーという女性歌手、初めて知りましたが、
数多くのアルバムを出している、中堅どころの人のようですね。
ハネる声がなかなかチャーミングで、
さりげないコブシ使いも巧みな、実力を感じさせる歌手です。
ジャケット写真以上に若々しさを感じさせる、透明感のある声もいいですよ。
全編でヴァイオリンを大きくフィーチャーしているのが耳残りします。
黒海民謡ふうの曲でも、クラリネットやケマンチェでなく、
ヴァイオリンが活躍するところが、新鮮に響きますね。
このアルバムは18年に出たようなんですが、
ぼくが入手したCDは、12年に出たライヴ盤“ME LAOUTA KAI VIOLIA” を
カップリングした2枚組となっています。
ライヴの方も、ヴァイオリンを全面的にフィーチャー。
ブズーキの代わりにウードが使われ、ベースとドラムスのリズム・セクションが付きます。
全37曲、メドレーでどんどん繋いで歌うノン・ストップ形式で、これは聞かせますよ。
ミディアム・テンポでじわじわと歌っていたのが、
少しずつテンポを上げていき、ぐんぐん引き込まれてしまいます。
マリアの歌いぶりも丁寧で、ライヴにありがちな粗さをみせることはまったくなく、
安定したヴォーカルを聞かせていて、うならされました。
Maria Nomikou “TA BARAKIA TOU NISIOU” Next 2180 (2018)