聞き覚えのないライ・シンガーの03年作を見つけました。
同じ芸名で、96年にイスラム原理主義者に殺害されたシャウイの歌手がいましたけれど、
こちらのシェブ・アジズは別人で、
57年アルジェリア北西部シディ・アリ生まれのライ・シンガー。
ハリのある声に、キレのあるこぶし使い、オッサン臭い歌いっぷりと、
三拍子揃った実力派のライ・シンガーですね。
ダルブッカの響きと生の手拍子も懐かしい90年代サウンドで、
ピヤピヤと鳴るシンセの、ちょいダサなサウンドが嬉しくなります。
まだこの当時は、オートチューンのロボ声なんてない時代だから、安心して聞けますね。
アコーディオンをフィーチャーした(サンプリングかも)‘A Galbi, A Galbi’ なんて、
ウキウキしちゃいますよ。
女声のウルレーションや、グルーヴィなベース・ライン、クラヴィネット使いなども、
徹頭徹尾オールド・スクールなプロダクション・センスで、
この時代のポップ・ライで育った人間にはたまりません。
とはいっても、03年のアルバムですからね。
当時流行のライアンビーの影響を受けたトラックもちゃんとあって、
DJ・キムのラップをフィーチャーした‘Cool In The Bled (Remix)’
‘Ce Soir On Est De Sortie’ ではファンク色を強めたライを、
‘Ya Sahbi’ では、ディスコ・ライを聴くことができます。
このほかの聴きものでは、シェブ・サハラウィとデュエットした、
ライ版「枯葉」の‘Ouled Bledi’ かな。これには、ちょっと驚かされました。
かなり歌える人なので、このほかにもたくさんアルバムを出していそうなものの、
00年代にいくつかあるだけで、10年代以降のアルバムはまったく見つかりません。
今も歌い続けているんでしょうか。
Cheb Aziz "ZINA" Mega Rai Party/Maghreb World Develoent LAM013 (2003)