クラブ・ミュージックからトラップへ タッシャ・レイス
うわぁ、スタイリッシュですねえ。 ブラジルで話題となっている、 フィメール・ラッパー、タッシャ・レイスの3作目となる新作。 聴き始めたら、もうワクワクが止まりません! 14年にデビューEP、16年にセカンドを出しているそうで、 今作で初めてタッシャを聴きましたが、キュートなラッパーじゃないですか。 ソフトな声質を生かしたスムースなフロウ使いは、...
View Articleゴールデン・エイジのセンバをアップデイトして レガリーゼ
独立を目前に控えた植民地時代末期のアンゴラ音楽を受け継ぐ歌手を発見しました。 その人の名は、「合法化」という風変わりなステージ・ネームを持つ レガリーゼこと、アントニオ・ドス・サントス・ネト。 アンゴラ独立宣言の2か月前、 75年9月7日、ルアンダのランゲル地区に生まれたレガリーゼは、 75年に暗殺されたソフィア・ローザに、77年のクーデター未遂事件によって粛清された...
View Articleウルトラ・モダンにしたチアンダを世界へ ガブリエル・チエマ
もう一人見つけたアンゴラの才能。 ガブリエル・チエマは、センバやキゾンバではなく、 チョクウェ人の音楽チアンダをベースにするシンガー・ソングライターです。 コンゴ民主共和国と国境を接する、アンゴラ内陸部のルンダ・スル州のダラで 66年に生まれ、18歳でFAPLA(アンゴラ解放人民軍)に入隊してからギターを覚え、 音楽を志したという経歴の持ち主。...
View Articleアンゴラ内戦時代のヴェテラン・シンガーの死を悼んで ゼカックス
アンゴラ音楽連投第三弾は、ヴェテラン・シンガーの追悼作。 56年ルアンダ、バイロ・マルサルに生まれた ゼカックスことジョゼ・アントニオ・ジャノタは、 長く内戦下にあったアンゴラ音楽の停滞時代に、 アンゴラ国内で歌手活動を続けたシンガーです。 キサンゲーラ、オス・メレンゲス、ディアマンテス・ネグロス、 ジョーヴェンス・ド・プレンダ、オス・キエゾスなどのバンドを渡り歩き、...
View Articleアンゴラ・ポップ職人の快作 イェイェ
しつこいとお思いでしょうが、アンゴラ四連投、これで最後です。 イェイェことオズヴァルド・シルヴァ・ジョゼ・ダ・フォンセカは、 73年生まれのキゾンバ・シンガー。ソロ・シンガーとなる前、 モザンビークで11年間音楽プロデューサーとして働き、 帰国後にプロデューサー業の経験を生かして、 アンゴラの音楽シーンへ貢献したいと、歌手へ転身したそう。 実はその昔、この人の96年作“TERRA DE...
View Articleラッパーからアフロビート・バンドへ バントゥー
ナイジェリア人の父とドイツ人の母のもと、 71年にロンドンで生まれたアデ・バントゥーことアデゴケ・オドゥコヤ。 バントゥーの名を知ったのは、フジ・シンガーのアデワレ・アユバをフィーチャリングした 05年のアルバム“FUJI SATISFACTION” でした。 ドイツのピラーニャから出たこのアルバムは、 ひさしぶりにフジがインターナショナルなシーンに登場した作品で、...
View Articleスーダンのエレキ・バンド シャーハビル・アフメド
ハビービ・ファンク、快挙です! スーダン歌謡をエレキ化した伝説の大物シャーハビル・アフメドを、 ついに復刻してくれましたよ。 いや~、長かったあ。 名前を知るばかりで、じっさいどんな音楽だったのかを聴くこともできず、 悶々としていた人の一人でしたからねえ。 シャーハビル・アフメドに限らず、60年代以前のスーダン歌謡は、 資料でその名は知っても、聴く手立てがまったくなく、謎のままでした。...
View Articleヘイシャン・プリースティスが歌うブルース・ロック ムーンライト・ベンジャミン
あれれ、新作もちゃんとフィジカルが出てたんですね。 前作をバンドキャンプで購入した時、新作はダウンロード販売のみだったので、 てっきりCDは出ていないとばかり思っていました。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-10-20 前作のヴードゥー・ロック路線をさらに磨き上げたこの新作、 ムーンライト・ベンジャミンの吹っ切れた歌いっぷりがスゴイ。...
View Articleミャンマーの名舞踏家が歌う伝統歌謡 マンダレー・テインゾー
マンダレー・テインゾーの新作! いやぁ、これにはびっくり。 リーダー作の少ない人だけに、これは貴重ですよ。 歌手よりも伝統舞踏家として有名な方であります。 マンダレー・テインゾーを知ったのは、だいぶ昔のこと。 ニニウィンシュウェやソーサーダトンとデュエットをしている ヴェテランふうの伝統歌謡歌手に、この人誰?と意識するようになったんでした。 それからリーダー作を探し始めたんですが、...
View Articleミャンマーに生き残る清純な歌声 ピューティー
マンダレー・テインゾーの新作に驚いていたら、 ピューティーの新作も入荷していて、やれ嬉しや。 昨年ピューティーの別のアルバムを入手していたんですけれど、 記事にしなかったので、今回あわせて書いておきましょう。 ピューティーは38年生まれ。 なんと大御所のマーマーエーより年長の人なんですが、 歌手になったのは遅く、80年からプロとして歌うようになったのですね。...
View Article知的な伴奏とマランドロな歌声 マルシオ・ジュリアーノ
面白いサンバ作品が登場しましたね。 リオやサン・パウロのサンバではなく、南部クリチーバ産という珍しいもので、 主役のマルシオ・ジュリアーノは、歌手だけでなく、 舞台俳優のほか監督も務める、演劇界においてキャリアのある人とのこと。 クリチーバというので、クラロン(バス・クラリネット)奏者の セルジオ・アルバッシを思い浮かべたところ、 なんとそのセルジオ・アルバッシがプロデュースした作品なのでした。...
View Article真摯な音楽家 藤井郷子
真摯。 藤井郷子くらい、この言葉がふさわしいジャズ演奏家はいないんじゃないでしょうか。 その昔は、ビリー・ハーパーにも、同様の真摯さを感じたものですけれど、 ビリー・ハーパーの場合は、スタイルを変えない、求道者のイメージが強くありました。 藤井郷子の場合、ソロ、デュオ、トリオ、カルテット、オーケストラと、 フォーマットもさまざまなら、作品ごとに振れ幅の大きな演奏を聞かせるので、...
View Articleサイケデリックなアゼルバイジャニ・ギターラ ルスタム・グリエフ
うひゃひゃひゃ、こりゃ強烈! 耳をつんざくエレキ・サウンドに、脳しんとうを起こしそう。 これは「世界ふしぎ発見」な1枚ですね。 アゼルバイジャンの改造ギター、ギターラのパイオニアであるルスタム・グリエフが 99年から04年に残した録音を、ボンゴ・ジョーがコンパイル。 う~ん、よく見つけたなあ。 改造エレクトリック・ギターを使って、 アゼルバイジャンの旋法ムガームに沿った伝統音楽ばかりでなく、...
View Articleオールド・スクールなポップ・ライの良作 シェブ・アジズ
聞き覚えのないライ・シンガーの03年作を見つけました。 同じ芸名で、96年にイスラム原理主義者に殺害されたシャウイの歌手がいましたけれど、 こちらのシェブ・アジズは別人で、 57年アルジェリア北西部シディ・アリ生まれのライ・シンガー。 ハリのある声に、キレのあるこぶし使い、オッサン臭い歌いっぷりと、 三拍子揃った実力派のライ・シンガーですね。...
View Articleインティメイトなトラップ・ソウル ケラーニ
えぇぇ! ケラーニの新作、CDが出てるじゃない! い・つ・の・ま・に。 アマゾンで偶然に発見し、あわててポチリました。 配信オンリーで、チッ、とか舌打ちしていた作品も、 のちのちフォローしておかないと、こういうことがあるのかあ。 うわぁ、メンドくさいなあ。 はじめっから、配信もCDもアナログも全部出しとけよ、まったくぅ。 夏前に新作のサンプルを聴いて、こりゃいいと小躍りしてたので、...
View Articleブラジル女性、蜂起せよ リマス&メロジアス
タッシャ・レイスの新作の記事に寄せてくれたAstral さんのコメントで、 初めて知ったリマス&メロジアス。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-10-04 15年にサン・パウロで結成された、歌手、ラッパー、DJの 女性7人によるコレクティヴなんですが、 17年に出した7曲入りデビューEP、これスゴイですね。...
View Article超ド級のハイブリッド・ポップ・バンド ピンハス&サンズ
とてつもなく斬新なバンドが、イスラエルにいた! 3年前だったか、イスラエル音楽に注目が集まったことがありましたけれど、 鍵盤奏者のオフェル・ピンハス率いるピンハス&サンズも、 そんな沸騰するシーンから登場したバンドのようです。 18年に出た彼らのセカンド・アルバムを聴いたんですけれど、 これが、トンデモ級にぶっとんだ内容。...
View Articleブラジル音楽黄金時代をアップデイトして バンボ・ジ・バンブ
良質のサンバ作品を送り出すフィーナ・フロールから、 また面白いアルバムがひとつ届きました。 男女半々の6人組、バンボ・ジ・バンブ。 グループ名をカルメン・ミランダが歌ったアルミランチ作のエンボラーダから 取っていることからもわかるとおり、 ブラジル音楽黄金時代のサンバ、マルシャ、マシーシをレパートリーとする、 生粋のカリオカのグループです。...
View Article半世紀越しのバマコ=ハバナのランデヴー マラビージャス・デ・マリ
マラビージャス・デ・マリが復活! こりゃ、オドロキの企画です。 なんでもフランスの新人映画監督のデビュー作となる ドキュメンタリー映画と連動したアルバムで、 映画は8月にフランスのルサス映画祭で初公開されたそうです。 マラビージャス・デ・マリは、マリ初代大統領のモディボ・ケイタが 推し進めた文化政策によって、キューバで誕生したマリの名グループ。...
View Articleオヤジ殺しの悩殺歌唱 エレン・アンデション
エレン・アンデションは、母国スウェーデンのほか、 デンマークのヴォーカル・グループ、トゥシェのメンバーとしても精力的に活動する 若手ジャズ・ヴォーカリスト。 91年生まれだから、この人もまた新世代ジャズの一員ですね。 レパートリーは新旧スタンダードで、古いところではエリントンの‘Just Squeeze Me’、 ホーギー・カーマイケルの‘I Get Along Without You Very...
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