しつこいとお思いでしょうが、アンゴラ四連投、これで最後です。
イェイェことオズヴァルド・シルヴァ・ジョゼ・ダ・フォンセカは、
73年生まれのキゾンバ・シンガー。ソロ・シンガーとなる前、
モザンビークで11年間音楽プロデューサーとして働き、
帰国後にプロデューサー業の経験を生かして、
アンゴラの音楽シーンへ貢献したいと、歌手へ転身したそう。
実はその昔、この人の96年作“TERRA DE SEMBA” を買って、
がっかりした記憶があったんです。
タイトルにセンバとあったので、おっ、とばかりに買ってみたんですが、
中身はセンバのセの字もないキゾンバ。
キゾンバが悪いというわけじゃないんですが、プロダクションがショボくって。
だもんで、その後のアルバムに手を伸ばすのを避けてたんですが、
う~ん、これはいいじゃないですか。
さすがに時を経た11年の制作は、プロダクションが目覚ましく向上しています。
しかも、この当時のセンバ回帰のトレンドを取り入れて、
アルバム前半は、すべてセンバで押していますよ。
オープニングは、マラヴォワふうビギンをミックスしたようなセンバ。
艶やかなヴァイオリンの響きがエレガントです。
そして2曲目以降、アコーディンをフィーチャーしたセンバ尽くしで、
ホーン・セクションなどもフィーチャーし、
打ち込みを使わない生演奏のリズム・セクションで、申し分のないサウンド。
ゲストがまた豪華で、大ヴェテランのボンガに始まり、
マティアス・ダマジオ、ユリ・ダ・クーニャなど、多数が参加しています。
「アンゴラ・モザンビーク」「マラベンタ」なんていう曲もあり、
リズムはセンバながら、マラベンタの影響をうかがわせるメロディが聞けます。
そして、中盤からするっとキゾンバに移る構成もうまいですね。
なかにはズークのニュアンスが濃いトラックもあり、
ラスト・トラックの‘Tonito’ は、完全にズークそのもの。
センバ~キゾンバ~ズークを横断する、アンゴラ・ポップ職人の手腕が光る一枚です。
YeYe "IMBAMBA" LS Produções no number (2011)