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アマピアノ、ついに登場 テノ・アフリカ

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Teno Afrika  Amapiano Selections.jpg

南アの新しいエレクトロニック・ミュージック、
アマピアノがフィジカルになるのって、これが初なんでは?
これまで南アのプラットフォームからダウンロードするほか、
音源を入手できませんでしたけど、
オウサム・テープス・フロム・アフリカが世界に向けてリリースするとは、想定外でした。

南アのアンダーグラウンド・シーンからゴムに続いて登場した、アマピアノ。
ゴムはダーバンで生まれましたが、
アマピアノは、プレトリア、ジョハネスバーグ、ラステンバーグ郊外のタウンシップ発祥。
アマピアノ・フロム・ハウテン(ハウテン州発祥)とよく言われるのは、
プレトリア、ジョハネスバーグ、ラステンバーグという
面的な広がりがあるからなんでしょう。

ディープ・ハウスが好きな人なら、アマピアノに飛びつくこと必至で、
ゴムにあまりノレなかったぼくも、アマピアノにはすぐに反応できました。
南アはもともとハウスを受け容れてきた下地があるから、
アマピアノもその発展形といえそうだけれど、
ハウスから一度クワイトに発展した歴史があるから、
その迂回によって誕生したジャンルなのかな。

ハネるリズムがとにかくキモチイイったら、ありません。
小物系の鳴り物のサンプルを多用しているところも、魅力です。
4つ打ちのハウスと違って、スネアの不規則な置き方が独特で、
変則的なキックや、ごついベース音を響かせるログドラムとともに
ポリリズムを生み出してます。そのバックでは、
シェイカーがステディなビートを控えめに鳴らし続けていたりして、
う~ん、こういうビートって、いくらでも聞いてられるなあ。

だって、こういうリズムの構造や、アンサンブルの組み立て方って、
80年代後半のワシウ・アインデ・バリスター全盛期当時のフジとまったく同じですもん。
ワシウは小物打楽器の扱いがバツグンにうまくて、
旋律楽器を一切使わず、打楽器だけにこだわり続けた末に、
スクラッチを導入した90年の“AMERICAN TIPS” が頂点だったもんなあ。
装飾的に表われる小物打楽器のフィルインが、
リズム・パターンにすべり込んでいくスリリングさは、フジの快楽と同質もの。

生音と電子音の違いこそあれど、
ポリリズムをふんだんに活かしたビートの構築は、これぞアフリカ音楽のアイデンティティ。
若干21歳というDJ/プロデューサーのテノ・アフリカこと
ルテンド・ラドゥヴァの初アルバムという本作は、メロウなエレピの洗練されたタッチや、
ラグジュアリーなピアノ・サウンドはディープ・ハウスゆずりで、
スペースをたっぷりとった音空間を生み出していてます。
プレトリア流のクワイト、バカルディのサウンドも継いでいるみたいですね。

本作でゆいいつヴォイスをフィーチャーしたラスト・トラックでは、
「アフリカのチャント」というタイトルとは裏腹に、
インドのラーガのようなメロディを女性ヴォーカルがハミングしていて、
ミスティックなムードがクールです。

Teno Afrika "AMAPIANO SELECTIONS" Awesome Tapes From Africa ATFA040 (2020)

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