こちらはキューバン・ジャズ。これまた19年作という遅れた入荷。
ラテン・ジャズとあまり相性が良くない当方ですけれど、
84年ハバナ生まれのこの若手マルチ木管楽器奏者には、ピンとくるものがありました。
冒頭から、軽快なテーマを吹くバス・クラリネットの速いパッセージに引き付けられます。
途中からもう1本のクラリネットと重ね録りした二重奏になって快調に飛ばし、
テーマが終わると一転、テンポががくっと遅くなって、ピアノ・ソロに移ります。
フックの利いた曲づくりができる人ですねえ。
1曲を除いて全曲ハニオ・アブレウのオリジナルで、
どの曲もキャッチーで、ポップな持ち味を感じさせます。
そのせいか、ジャズというよりは、フュージョン的なニュアンスがあり、
ピアノが派手にグリッサンドを鳴らしたり、
エンディングをブルースの定番パターンでやったりするあたりも、
シリアスなジャズからは遠い、エンタメ気質のあるミュージシャンですね。
本格的なダンソーンもあり、歌ごころ溢れる演奏が聞けるのが嬉しいな。
ハニオは、バス・クラリネット、クラリネット、テナー・サックス、アルト・サックス、
フルートを、曲ごとに持ち替えながら吹き分けています。
ピアノ、ベース、ドラムス、コンガの4人編成によるアイレ・デ・コンシエルトは、
07年に結成したそうで、もう十年以上の活動歴があるようです。
ラストのチャングイのみ、新世代の有望株としてキューバで注目を集めるピアニスト、
アレハンドロ・ファルコンが作曲をしていて、
アレハンドロ・ファルコン自身がピアノを弾いています。
エネルギッシュなピアノ・ソロは、アルバムを締めくくる最高の聴きものとなっています。
Janio Abreu Y Aire De Concierto "HIJO DEL VIENTO" BIS Music CD1260 (2019)