“KIN SONIC” から4年ぶりとなる、ジュピテール&オクウェスの新作です。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-04-07
毎回じっくりと時間をかけてアルバム作りをしている彼らですけれど、
今回も新たな展開をみせていて、前進を続ける頼もしさは相変わらずで、嬉しくなります。
今作は、ビースティ・ボーイズやジャック・ジョンソンを手がけた
マリオ・カルダート・ジュニアをプロデューサーに迎えたんですね。
1曲目からブラジルのラッパー、マルセロD2をフィーチャーして、
豪快に突進するアフロ・ファンクをかましてくれますよ。
このほか、チリ系フランス人ラッパーのアナ・ティジュ、
フランス人ギタリストのヤロル・プポー、サンバ・ソウルのロジェー、
ニュー・オーリンズのプリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンドを
客演させたのは、マリオ・カルダートの仕掛けでしょうか。
いずれのゲストも、オクウェスのアフロ・ロック/ファンク・サウンドによく馴染んでいて、
ボフェニア・ロックの強化に努めたといえそうです。
サウンドが少し変化したなと感じたのは、シンセとエレピの二人がサポートして、
浮遊感溢れるサウンドを加味していること。
ジュピテールのかけ声にも、強めのリヴァーブをかけていたり、
ギター・サウンドも、コンプレッサー使いで伸びやかなサスティンを強調していたりと、
ミックス面でも洗練されたサウンドを志向しているのが、よくわかります。
ロウファイとは対極のサウンドを狙ったといえそうで、
それがオクウェスの持つ野性味を損なわずに仕上げているところが、今回の目玉。
パーカッションと手拍子のみで、ジュピテールがオクウェスと
コール・アンド・レスポンスで歌う曲でも、野性味たっぷりとなりそうなところ、
どこかすっきりと聞かせるミックスにも、それは表われています。
ラスト・トラックのロジェーとの共演で聞かせる爽やかさなんて、
これまでにない新機軸でしょう。
野性と洗練を両立させた新境地を聞かせる新作です。
Jupiter & Okwess "NA KOZONGA" Zamora ZAMOCD2101 (2021)