うわぁ、スゴイ上質なポップスをやる人じゃないですか。
アンゴラのシンガー・ソングライター/ギタリストのトトー・STの2作に驚かされました。
歌、楽曲、演奏と、三拍子揃ったクオリティの高さといったら!
アンゴラといっても、センバやキゾンバとは無関係。
ジャジーな味わいもある、グルーヴ感溢れるコンテンポラリーなアフロ・ポップの作家で、
リシャール・ボナやラウル・ミドンが思い浮かぶ場面多し、といえます。
どういう人かとバイオを調べてみると、自身のサイトに紹介がありました。
80年ルアンダ生まれ。本名はセルピアン・トマス。
ステージ・ネームのトトー・STのSTは、本名のイニシャルですね。
14歳からキャリアを積み、06年にデビュー作“VIDA DAS COISAS ” をリリース。
今回ぼくが入手した14年作と19年作の2枚は、3作目と4作目にあたるようです。
2作ともに、ソングライティングが非凡。
どの曲もフックがあり、スキャットや多重録音による自身のハーモニー・コーラス、
ギター・プレイなど、巧みな聴かせどころを作るセンスに長けた人です。
歌いぶりは伸びやかだし、美しいファルセット使いも要所に交えて、
ヴォーカリストとしても優れています。この人の歌には、官能性がありますよ。
アンゴラの音楽賞で、ワールド・ミュージックやアフロ・ジャズ部門のベスト・シンガーを
受賞するほか、最優秀曲、最優秀作曲者を受賞しているのも、ナットクです。
15年にダイアン・リーヴスとステージをともにし、
キザイア・ジョーンズとも共演するなど、
国外のミュージシャンとの共演歴も豊富なようです。
2作のプロダクションもめちゃくちゃ充実していて、伴奏陣は実力派揃い。
“FILHO DA LUZ” では、アンゴラのポップス・シーンの若手プロデューサーとしても
活躍する鍵盤奏者ニノ・ジャズに、グアドループ出身のベーシスト、
ティエリー・ファンファン、マルチニーク出身のベーシスト、ミシェル・アリボが参加。
“NGA SAKIDILA” には、カメルーンの実力派ジャズ・ベーシストの
ガイ・ンサンゲが参加するほか、アンゴラの若手で注目を集めるギタリスト、
マリオ・ゴメスがシャープなギターを聞かせます。
アンゴラ、いったいどんだけ才能が眠っているんだよ!
Totó ST "FILHO DA LUZ" VIP no number (2014)
Totó ST "NGA SAKIDILA" 17A7 no number (2019)