デイヴ・ホランドの新作が、
ギタリストのケヴィン・ユーバンクスと組んだトリオと聞いて、
ソッコー予約しましたよ。
なんせこの二人が共演した90年の“EXTENSIONS” は、
ぼくにとって生涯クラスのヘヴィ・ロテ盤。冬ジャズの定番アルバムとなっています。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2011-01-19
ホランドとユーバンクスの共演がこの時以来なのかどうかは知りませんが、
あれから30年を経て、二人がどんな演奏を聞かせてくれるのか、楽しみにしていました。
(あとで調べてみたら、13年に“PRISM” で共演してるんですね。知りませんでした)
ユーバンクスのウォームなギター・サウンドに変わりはないものの、
カミソリのようにシャープに切り込んでくるスピ-ド感に加え、
伸縮の利いたプレイで、大きくうねるグルーヴ感を生み出しているのが、すごく印象的。
“EXTENSIONS” では、アルト・サックスのスティーヴ・コールマンがいましたけれど、
今回はギター・トリオの編成なので、サウンドのテクスチャをギターが決定づけるだけに、
ユーバンクスは慎重に音色を選びながらプレイしていますね。
ユーバンクスがトリオのサウンドをコントロールしつつも、
時にダイナミックな展開もみせ、‘Mashup’ での奔放なギター・ソロは、相当にスリリング。
オベッド・カルヴェールも手数の多いドラミングで、ユーバンクスを煽りまくっています。
ポスト・バップ・スタイルのカルヴェールのドラムスは、ロック的な激しさを持ちつつも、
軽快な俊敏さのせいでうるさくないし、ファンキーなブレイクを入れるのが巧みです。
そして親分ホランドの脈打つようなベース・ランニングが、
トリオのサウンドにアクセントをつけていくところは、ヴェテランのなせる業。
タテ・ヨコ弾いているけれど、やっぱりタテの大胆なトーンに惚れますね。
ユーバンクスとホランドの二人がブルースを引用する‘Bring It Back Home’ も面白い。
ハード・バップ時代のブルースをいつも退屈に感じてきたぼくには、
こういうアーティキュレーションこそ、
ジャズ・ミュージシャンに望まれるブルース解釈だと思います。
Dave Holland "ANOTHER LAND" Edition EDN1172 (2020)