ニジェールのトゥアレグ女性グループ、レ・フィーユ・ド・イリガダッドが、
ワールド・ツアーをしているというニュースには、
レーベル元であるサヘル・サウンズの本気度というか、
このグループに本腰を入れているんだなあと感じましたね。
その成果が実って、19年の秋、2年に及んだワールド・ツアーの最後に、
ニュー・ヨーク、ブルックリンで行われた2晩のライヴが
アルバムとなってお目見えしました。
前作は、メンバーのクレジットすら載っていない手抜き制作で、
主宰のクリストファー・カークリーにクレームを言ったんだけど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-11-05
今回はなんと、全曲の歌詞まで載っていて、おぉ、やるな。
ところが、その歌詞はティフィナグ文字で書いてあって、対訳なし。意味ないじゃん。
前作では、ギタリストのファトゥ・セイディ・ガリと歌手のアラムヌ・アクルニの二人に、
サポート役でマリアマ・サラ・アスワンが加わっていましたが、
マリアマはグループを抜けたもよう。その代わりにアマリア・ハマダラーと、
男性ギタリストのアブドゥライ・マダサヌが加わって、
女性3人に男1人の4人編成となっています。
ライヴだから、ウルレーションを放って、華やかな雰囲気になっているのかと思いきや、
だいぶ地味な演奏ぶり。ビート感もあまり強くなくって、こじんまりとした印象です。
う~ん、トゥアレグ女性がギターを弾いているという物珍しさを越える魅力は、
まだ乏しいかなあ。
イシュマール・スタイルのギター・バンドというより、
トゥアレグ女性の伝統的なティンデにギターを加えた
ギター・ティンデに近い感じでしょうか。
ティナリウェンとも共演したティンデのゴッドマザー、
バディ・ララの迫力たっぷりのギター・ティンデを先に知ってしまうと、
レ・フィーユ・ド・イリガダッドはちょっと物足りないですね。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-07-24
とはいえ、ラストの‘Irriganan’ では、旋回するフレーズをひたすら反復させて歌い、
トランシーな磁場を表出していて、ティンデらしい魅力を放っています。
今後の活動を見守りましょう。
Les Filles De Illighadad "AT PIONEER WORKS" Sahel Sounds SS063 (2021)