この夏は、キゾンバ祭りだっ!
梅雨が明けるのと同時に、どういう巡り合わせか、
アンゴラのキゾンバの良作が、どどっと手に入って、夏気分が全開。
どれも旧作なんですけど、スグレモノ揃いで、嬉しいったらありゃしない。
思わずその昔、ズークが初めて日本に上陸したときの記憶が蘇りました。
あれは、87年の夏だっけ。
GDプロダクションやデブのズークのアルバムが大量に日本へ上陸して、
解放感いっぱいのズーク・サウンドに、目の眩むような思いがしたもんです。
DX7のブライトなシンセ・サウンドに、
ビーチと青い空が目の前に、ぱあっと広がるようでした。
さて、じじぃの昔話はそのくらいにして、
まずはアリーこと、アリオヴァルダ・エウラリア・ガブリエルからいきましょう。
アリーは、86年ルバンゴ生まれ。
02年にコンテストでローリン・ヒルの曲を歌い、落選するものの、
それを観ていたプロデューサーのヘヴィー・Cに見出されて歌手デビューし、
07年にデビュー作を出したキゾンバ・シンガーです。
やっぱりこの人の歌は、華があるなあ。
チャーミングな歌いぶりには、ハジけるような若さが発揮されていて、
時に見せる切ない表情に、もうメロメロ。
16年作の“10” をすでに聴いていましたけれど、
今回手に入れた12年の2作目のサウンドには、ゾッコンとなってしまいました。
アリーを育てたヘヴィー・Cのプロデュースで、
ヴァラエティ豊かなレパートリーを彩るプロダクションが、よく出来てるんです。
さまざまなタイプのキゾンバを演出していて、
クラリネットをフィーチャーし、カヴァキーニョのリズム・カッティングを利かせた
アクースティックな仕上がりのキゾンバなど、
エレクトリックに偏らない音づくりがいいんだな。
前のめりに疾走する生演奏のセンバも、どこかほっこりしていて、なごめます。
アコーディオンとカヴァキーニョが活躍するコラデイラもあれば、
マネーカス・コスタがギターとベースで加わったグンベーなど、
アンゴラ以外のポルトガル語圏アフリカ音楽も取り入れて、
カラフルなアルバムに仕上がっています。
生音使いのトラックと打ち込み使いのトラックの使い分けが絶妙で、
両者がバランスよく配置されているのは、16年作の“10” とも共通していますね。
“10” の方はクドゥロもやっているなど、エレクトロ強めだったので、
ぼくはヘヴィー・Cがプロデュースした12年作の方が好み。
ちなみに“10” ではヘヴィー・Cのもとを離れ、
プロデュース・チームは一新されたんですね。
Ary "CRESCIDA MAS AO MEU JEITO" LS Produções no number (2012)
Ary "10" Divaary Empreendimentos no number (2016)