ウィルバート・ハリソンの71年ブッダ盤がCD化されていたのか!
いやぁ、これには気がつかなかったなあ。
ウィルバート・ハリソンのベスト盤3枚組の中に、さりげなく全曲収録されていたとは。
う~ん、これは、嬉しい。
リー・ドーシーの“YES WE CAN” にカンゲキして、
アラン・トゥーサンがアレンジしたレコードを
片っ端から探していた、高校生の時に出会ったアルバムです。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2015-09-01
“YES WE CAN” のような名盤とは比べようもない、B級盤ですけれど、
ニュー・オーリンズR&Bのいなたさが味わえる、忘れがたいアルバムです。
ブッダ盤を買った当時、ウィルバート・ハリソンが誰なのかも知らず、
のちになって「カンサス・シティ」の大ヒット曲を出したR&Bシンガーということを
知りましたけれど、今回のベスト盤3枚組を買うまで、
オリジナルの‘Kansas City’ を聴いたことがなかったというお粗末。
「カンサス・シティ」の大ヒットにまつわる契約問題が仇となって、
のちのちもヒットに恵まれず、不遇の歌手だったということは、
ハリソンの全キャリアを追ったこのベスト盤を聴いて、ようやくわかりました。
なんせこの3枚組、70曲中30曲が初CD化だというのだから、タイヘンです。
その意味で71年のブッダ盤は、ニュー・オーリンズ・ブームを巻き起こした
立役者のマーシャル・セホーンをプロデューサーに迎えて、
起死回生を狙ったアルバムだったんですね。
残念ながら、それは果たせはしませんでしたが。
リトル・ウォルターの‘My Babe’、ジミー・リードの‘Honest I Do’ といった
ブルース定番曲に、ファッツ・ドミノの‘Ain't That A Shame’ ‘Going To The River’、
そしてニュー・オーリンズを代表する
‘When The Saints Go Marching In’ というレパートリーは、
71年当時としても、ちょっと古臭かったんじゃないかと思います。
それでもねえ、ニュー・オーリンズならではの人懐っこいサウンドが、たまんないんだなあ。
リズムの塊と化した‘Girls On Parade’ のセカンド・ラインに、腰が揺れます。
クレジットはないけれど、“YES WE CAN” 同様、
ミーターズがバックを務めたと思われる演奏は、
この時代ならではのグルーヴに溢れていて、もうサイコーです。
ディスク3には、ブッダ盤をオリジナル盤の曲順どおり並べた後、
76年作の“SOUL FOOD MAN” がこれまた丸ごと収録されているんですね。
トゥーサンとセホーンの共同プロデュースで、こちらは初めて聴きましたが、
ちょっとこっちはユルいかなあ。ジミー・リードふうのハープはいいんだけど、
ホーン・セクションは不在だし、バックもミーターズではなさそう。
というわけで、個人的には、ブッダ盤CD化バンザイな3枚組ベストでした。
[LP] Wilbert Harrison "WILBERT HARRISON" Buddah BDS5092 (1971)
Wilbert Harrison "KANSAS CITY: THE BEST OF WILBERT HARRISON" Sunset Blvd CDSBR7991