うわ~、これは、トロけるなぁ。
去年ココロ射抜かれたジェネイ・アイコやケラーニとおんなじテイストで、
ぼくをトリコにする歌声の持ち主ですね、この人は。
コペンハーゲンから登場した、アンビエントR&Bの新鋭、エリカ・ド・カシエール。
日本のみで出たデビュー作CDは、チェックしそびれていましたが、
4ADに移籍して出した第2作は、冒頭の曲を十数秒聴いて、即買いしましたよ。
90年代のUKガラージを思わせるサウンドにのる、
エリカのコケティッシュなヴォーカルのオープニング、‘Drama’ にヤラれたんですが、
続く‘Polite’ のコンガなんて、ネイキッド・ミュージック・NYCが絶好調だった
00年代のハウスを思い出さずにはおれません。
こちらの好みを見透かされるようなサウンドのリファレンスに、
ちょっとクヤシイ気分にもなるんですけれど、
そこにのるエリカのラップまじりのヴォーカルは、当時はなかったものですよねえ。
そのフロウは、間違いなく現代のアンビエントR&Bの新しさが刻印されています。
アンビエントR&Bは一日にしてならず、ヒストリーありですねえ。
エレクトロニカ、アンビエント、ディープ・ハウス、ジャングルなどを咀嚼したサウンドは、
はかない美しさに富んでいて、クールなサウンドスケープに、
温かな感情が満ち溢れているのが、びんびん伝わってきます。
選び抜かれた音色のデリケイトな質感には、感じ入ってしまいますねえ。
90年代からのさまざまな音楽要素を収斂させてこそ、
この新しいヴォーカル表現が生かされているのを感じます。
ラストの‘Call Me Anytime’ なんて、バックで鳴っているビートは、
まぎれもなくジャングルじゃないですか。
あの凶暴なジャングルが、まさかこんなに静謐なアンビエントと融合するなんて、
あの頃誰が予想しましたかね。
デンマークから出てきた才能というのも、なかなかに新鮮ですけれど、
なんとご両親はベルギーとカーボ・ベルデの出身だそうで、
エリカが生まれたのは、ポルトガルなんだそうです。
う~ん、クレオールの香りが漂ってくる話で、ぼくが惹かれるのも当然なのか。
Erika De Casier "SENSATIONAL" 4AD 4AD0354CD (2021)