ネイト・スミスの『キンフォーク』三部作の第二弾、ついに登場!
今回はプリ・オーダーして、もたもたせずに買いましたよ。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-01-09
前回はローパドープでしたけれど、今回はUKのエディションに移籍してのリリース。
なんだか、注目のミュージシャンがこぞって、
エディションから出すようになりましたねえ。
前回は子供時代がテーマでしたけれど、今回は10代がテーマ。
ジャケットのパネルを開くと、中にスクール・バスの写真が写っていて、
ネイトが10代の頃に影響を受けた音楽が反映されているんですね。
そのために参集したゲストが豪華ですよ。
ミント・コンディションのリード・ヴォーカリスト、ストークリー・ウィリアムズに、
リヴィング・カラーのギタリスト、ヴァーノン・リードと、
ネイトのティーン時代のヒーローを招いています。
そうかあ、やっぱりR&Bやブラック・ロック・コーリションに夢中だったんですね。
自分が十代の時に、仰ぎ見るような気持ちでいたミュージシャンたちと、
その後何十年も経て共演するのって、どんな気分なんでしょうねえ。
前作に引き続き起用された、マイケル・メイヨの器楽的ヴォイスが冴えていますよ。
これもまたグレッチェン・パーラト以降のジャズ・ヴォーカル表現といえ、
流麗なソロをとるジョエル・ロスのヴァイブともども、
21世紀ジャズの醍醐味を味あわせてくれます。
コカイのラップに挑むように繰り出される変拍子ビートにも、それは表われていますね。
特に今作は、楽曲が素晴らしいですね。
その豊かな抒情性は前作を上回っています。
ゴスペルが滲むラストのバラードにグッときたんですが、
物語性のある楽曲に、深みのあるダウンテンポで応えたり、
ドラマティックな楽曲では、爆発的なドラミングを聞かせたりと、
アルバムのなかで、実に多彩な表情をみせてくれています。
ネイトの作曲とメンバーによる即興のバランスが絶妙で、
プロデュース力の高さには、おそれいるばかり。
前作を「ジャズを超える音楽作品」と書きましたけれど、
続編となる今作はさらに磨き上げられて、
円熟味を感じさせる作品に仕上がっています。
Nate Smith "KINFOLK 2: SEE THE BIRDS" Edition EDN1184 (2021)