これが新作? 90年代の旧作かと思いましたよ。
ロンドンのドラムンベース4人組バンド、ルディメンタルの新作。
これが4作目だそうですけれど、バンド名を知るのも、これが初めて。
ジャケットのアートワークに惹かれて試聴してみたんですが、
世紀が変わって20年以上も経つというのに、
こんなサウンドを聞けるとは思わなんだ。しかも、バンドで。
それこそ、シティ・ポップの文脈としても聴けちゃいそうな、
メロウなトラックにスムースなサウンドがずらり。
ドラムンベースもここまで商業的に、ポップになったのかと思うと、
隔世の感をおぼえますね。
ドラムンベースの危険なアンダーグラウンドの匂いなどまるでなし。
オシャレなMJ・コールの流れをくむようなダンス・フロア向けのトラック揃いで、
ドラムンベースというより、ゲスト・シンガーを大勢招いたオシャレなハウスの趣で、
きわめて口当たりのいいサウンドを聞かせます。
ドラムンベースも、完全に音楽の一フォームとなったんですねえ。
90年代末から00年代の一時期、クラブ・ミュージックに夢中になったものの、
その後はすっかり離れてしまい、ダブステップもロクに聴いてないんですよね。
このバンドがどういう立ち位置にあるのかもぜんぜんわかっていないんですけれど、
2ステップなど90年代のUKガラージを思い起こさせるサウンドには、
年寄りの頬を緩ませます。
街で突然、20年前一緒に仕事をしていた仲間に出くわしたような気分。
昔とぜんぜん変わっておらず、かえって若返っているほどで、
懐かしくも嬉しい再会を果たせました。
Rudimental "GROUND CONTROL" An Asylum 0190296683947 (2021)